とある平日の午前中、所用を片付けに降り立ったのは西武新宿線小平駅。
所用の合間に昼飯がてら、駅周辺を散歩してみました。
綺麗に整ってはいるけれどパッとはしない駅南口を降り、そのまま真っ直ぐ南へ進むと、ここだけ立派な「ルネ小平」という市民会館が見えてきます。
この会館は「四月は君の嘘」というテレビアニメで、主人公たちがコンクールで訪れたホールとして描かれていましたね。
実際、コンサートや落語なんかの催し物を、ちょくちょく開催しています。
ちなみに、階段横の大きな郵便ポストは、丸ポストとしては日本一の大きさ。
もちろん、投函できます。
「聖地巡礼」も済ませたので(笑)、そのままさらに南へと歩いて行くと、その昔、青梅から江戸に漆喰の原料となる石灰を運ぶために整備された青梅街道にぶつかるので、そこを右折。
駅から合わせて10分ほど歩くと、手打うどんの『関根屋』さんにたどり着くので、そこでランチにしました。
手元の古いグルメ本によると
「かつて青梅街道を行く炭担ぎの人足が立ち寄った」
というほど昔からあるそうで、ご主人も、自分が何代目にあたるのか正確にはわからないんだそうです(笑)
店の場所としては「仲町図書館前」交差点が目印。
駐車場も数台分あるのですが、人気店なようで、昼時過ぎるとすぐ満車になってしまいます。
そんな老舗のうどん屋があると、以前から聞いてはいたのですが、訪問するのは今回が初めて。
その理由は、店の営業時間の短さ。
なんと13時には店仕舞いで、日曜日は定休日。
これでは、ご近所さん以外にとっては、半ば幻のうどん屋です。
暖簾をくぐって店内に入ると、丁寧に案内してくれる女性が二人ほどで切り盛りしていました。
席はカウンターの外、テーブル席が数卓と取り囲むように小上がり席が並んでいて、外観から想像するより広い店内。
メニュー構成は、単純明瞭。
とにかく饂飩で、冷・温と大中小を組み合わせて、トッピングは玉子と天ぷら。
サイドメニューに、焼き団子といなり寿司もあります。
多摩地区から埼玉県にかけての“武蔵野うどん”の老舗店では、忙しそうなオバちゃん達が、常連さんにしかピンとこない暗号のような注文の取り方をしてくることが多くて、ついおどおどしてしまうのですが、ここのメニューは分かりやすいですね。
それに税抜価格ながら、お値段も良心的。
注文したのは、贅沢に全部載せの『温天玉うどん(中)』。
それでも500円しかしません。
ここいら辺のうどんのスタイルは、昔農家で食べられていた自家製の「糧うどん」。
細切り野菜(大根と人参)がデフォルトで添えられています。
トッピングの天麩羅はかぼちゃでした。
麺は「武蔵野うどん」としては細打ちで、腰はあるけれどもゴワゴワ感は少なくて、食べやすいですね。
玉子を溶かして饂飩に絡めながら食べると、贅沢感がアップしました。
でも、これは各人の好み。
出汁は、煮干しと昆布が効いていて、醤油は強くありません。
全体に好みの味です。
老人も含めて日常的に家族で食べるのであれば、ベストに近い饂飩かもしれません。
折角来たので、「焼き団子」(100円)も注文してみました。
こちらは上新粉100%の炭火焼。
醤油味で固めに焼き上げられた団子で、いかにも昔、街道を行く旅人や人足が、休憩がてら小腹を満たしたんだろうなと思える素朴な味です。
うどんと同じ炭水化物ですが、味わいが異なりますので、セットで頼んでも良いかと。
炭担ぎの人足が通った店の前の青梅街道。今は代わりに宅急便の車が通り過ぎていきます。
近所にあれば、しょっちゅう通いたくなるようなお店。
昼時に近くを通るのなら、是非どうぞ。
【関根屋】せきねや
▪️所在地 東京都小平市仲町164
▪️最寄駅 西武新宿線小平駅 徒歩10分
▪️営業時間 10:30〜13:00
▪️定休日 日曜日
▪️駐車場 あり