日本海の巨大な天然生簀とも称される富山湾。
陸側には標高3,000m級の立山連峰が聳える一方、湾内は水深1.200mを超える深海なっており、山から海底まで4,000m以上の高低差をもつ地形が特徴的。
立山山麓の森からは栄養分の豊かな伏流水が海に流れ込んでいるため、湾内ではプランクトンが多く発生しており、それを餌とする魚の味にも折り紙が付く、豊かな漁場となっています。
(↓富山湾越しの立山連峰)また西からは暖かい対馬海流が回り込んでいるため、この湾の海水は、水面近くの表層には暖かい海水が流れる一方、その下から深海までは冷たい海洋深層水で満たされている二層構造となっています。
このため温かい海水を好む魚も深海の冷水を好む魚も、それぞれ同じ湾内に生息しているため、沿岸の漁港に水揚げされる魚は多種多様。
冬の寒ブリを筆頭に春の白エビやホタルイカなど、四季を通して個性的な海産物が揚がる豊饒の海。
旬の魚を味わいに、季節毎に訪れる価値があるってもんです。
そんな訳で晩秋の11月後半、氷見の寒ブリの時期にはまだ早いのですが、新湊のベニズワイガニ漁は解禁になっていますし、山には紅葉の残っているところもあるだろうと富山までドライブ旅行に出かけてみました。多摩エリアから富山県内までは、上信越道経由で約400km。
片道5時間弱の道のりです。
いつものパターンで週末の仕事が終わってから出発し、今回は長野県佐久市のビジネスホテルで前泊。
ここまで来てしまえば、翌朝に渋滞知らずの高速道を2時間も走れば富山県内に到達できます。
富山湾の神秘に触れようと、まず立ち寄ったのは魚津港のそばにある「魚津埋没林博物館」。
魚津埋没林とは、かつて太古の昔、黒部の山から海岸線まで広がっていた広大な原生林が、地盤の沈下と隆起を繰り返すうちに海中に埋もれ、魚津港の整備の際に地中から発見されたもの。
見事な巨木の跡が水中にあったままの状態で保存されていて、その姿は実に神秘的。
さらな展望塔からは、運が良ければ有名な「富山湾の蜃気楼」が眺められるはずなのですが・・・
あいにくの天気で何も見えず(泣)
そもそも蜃気楼は、3月後半から6月前半までが一番よく見えるとのこと。
時期を間違えましたね。
仕方ないので、蜃気楼は館内で上映されている映像で楽しんでいきました。この博物館、「ちょっと休憩できれば十分」ってつもりで立ち寄りましたが、思いのほか見ごたえがありました。
オススメです。
観光としては岐阜県側の白川郷とともに世界文化遺産に登録されている「五箇山の合掌造り集落」へ。
東海北陸自動車道の五箇山インターから僅か3分。
テレビなどで映像は何度も目にしていますが、一度は来たいと思っていました。
集落の規模としては隣の白川郷の方が大きいのですが、こちらはそれほど混雑もしておらず、のんびりできます。この急勾配の茅葺き屋根は、雪下ろしのしやすさを考えてのもの。
2階3階の屋根裏部分では、お蚕を飼ったりしていたそうです。
時代劇に出て来そうな日本の山里の原風景ですね。
食堂や土産物店、資料館になっている建物が多いので、中の様子も見学できますし、小さなテーマパーク的にそぞろ歩きを楽しめました。
建物や集落の周辺の保存状態が良いことにも感心します。
これだけのものを保存していくのは大変でしょうね。
これなら駐車場代(普通車500円)くらい喜んで協力するってもんです。
紅葉の盛りには間に合いませんでしたが、まだまだ秋の風情を楽しめました。
今は立派な高速道路やトンネルができていて富山市の中心部からも車で楽に来れますが、それまでは険しい山や渓谷に阻まれて、隣の集落まで行くのにも難儀する秘境、陸の孤島だったはず。
今では、もう一度東海北陸自動車道に乗れば、白川郷までだって30分もあれば行けるのですから便利なものです。
紅葉を目当てに来るなら、11月中旬までですかね。
雪の頃や、稲穂の実る頃なんかも絵になると思いますよ。
その後は、庄川沿いの山道を下って行って、小牧ダムによってできた「庄川峡湖上遊覧船」乗り場へ。
こちらも紅葉は盛りは過ぎてしまいましたね。
秋の名残りのみ。
それでも、渡り鳥のカモが舞い飛ぶ中のクルージングってのも悪くない風情。
終点は、ダム湖ができたことによって船でしか来ることができなくなった「大牧温泉」。
旅行番組やドラマの舞台として、よくテレビに登場する温泉です。
やはり人気があるようで、今回は予約が取れず、このまま船でUターンして帰りました。
またいつか機会があれば・・・。
こちらの遊覧船は、大牧温泉まで往復するルートは所要時間1時間10分で料金は2,800円。
途中で折り返す短縮ルートも一日2便出ていて、そちらは25分で1,000円とお手頃。
ただし、便数は多くはないし季節毎に時刻表も変わるので注意が必要。
また、ウェブサイトの表記や、現地窓口での案内も驚くほどわかりづらいので(何処でどうやって待っていれば良いのかわからない観光客がオロオロさせられるレベル)、乗るなら時間に余裕を持って(笑)
富山湾の味覚として味わえたのは、「白えび」に
深海魚の「ゲンゲ」に、
新湊に揚がる「ベニズワイガニ」など。
富山では、回転寿司でさえ驚くほど美味いとの噂。
何店舗か目星をつけておいたのですが、魚津駅の近くの廻らない寿司屋に飛び込みで入れたので、今回は地魚握りを。
また、富山も南の山の方に行けば、食習慣も変わって来ます。
五箇山の「熊鍋」なんてのも食べてみました。
富山湾の味覚の代表は、やはり「寒ブリ」でしょうし、観光のハイライトなら「立山黒部アルペンルート」かもしれません。
まだまだで富山県内で行ってみたいところは残っていますが、とりあえず今回の旅行により「夫婦で全都道府県宿泊」達成までは、残りあと12府県となりました。