松山庭園美術館で猫と遊ぼうと、はるばるやって来た千葉県の九十九里エリア。
折角ここまで来たのですから、何か美味しい地元食材の料理を食べて帰ることにしました。
海沿いの食堂で海鮮料理ってのもいいのですが、一度は食べてみたい飯岡の岩牡蠣は既にこの時期にはシーズンオフ。
ネットを使って探してみると匝瑳市の隣町に、千葉県産の食材にこだわるイタリアンの店がありました。
ホームページで確認すると、昼夜ともにコース料理のみのようですが、ネット予約ができて便利だったこともあり、そのまま予約を入れてみました。
向かったのは、千葉県山武市にあるイタリアン「Ushimaru」(ウシマル)さん。
九十九里の海の恵みや南房総の山の幸など、シェフが千葉県中を走り回って集めた食材を料理し、「地産地消」ならぬ「千産千消」で提供するレストランです。
🌀アクセス
ウシマルさんの所在地は、千葉県山武市松尾町。
最寄り駅は、JR総武本線松尾駅。
東京駅からは、特急の乗り継ぎがよければ1時間半程度で辿りつきますが、少々遠いローカル駅。
駅からも歩いて行くと3kmもあるので、店ではタクシーの利用を推奨しています。
多摩エリアからも車で行くなら2時間半はたっぷりかかるのですが、成田空港周辺のホテルに泊まっていれば、そこからは芝山はにわ道(途中の道沿いに埴輪が沢山置かれている!)を通って30分程度です。
店の前の駐車場は十分に広くて、車は駐めやすくなっています。
🌀外観と店内の様子
芝山はにわ道から横道に入り、田んぼに囲まれた細い道を少し行くと「Ushimaru」さんの建物が見えて来ます。
周囲は純日本的な田園地帯ですので、この場所だけ雰囲気が違って見えるような、可愛らしい外観の南欧風洋館です。
店内に入ると、すぐにスタッフの方が迎えてくれました。
中は過度にゴージャスってこともなく、天井が高くて全体にシックな内装。
フロアには、4人がけのテーブルが4つと、奥に個室が一部屋。
この日は全席、予約で満席です。
客層を見ると、特別な日の食事を楽しむ、ちょっとだけお洒落した二人連れやグループ客が主流。
隣の席の方は、東京方面から電車で来たようで、帰りはタクシーを呼んでもらって駅まで戻るようでした。
コース料理がメインのレストランで、トラットリアやピッツェリアと言うよりは、リストランテ的に使われているようです。
それでも、都心の高級店のような堅苦しい雰囲気まではないので、緊張するようなことはありません。
房総という場所柄やスタッフの気さくな応対もあって、襟付きのシャツを着るとか、カジュアルなジャケットを羽織るとかしておけば十分だと思います。
🌀メニューと料理
平日は、ランチが3,800円と10,000円のコースの2種類。
ディナーは6,000円と10,000円のコースから選べます。
土日・祝日は、ランチ/ディナーとも6,000円と10,000円のコースのみ。
これにサービス料の10%と消費税がプラスされますから、場所柄からするとかなり強気な価格設定。
昼は12:00、夜は18:00の同時スタートです。
週末のランチに伺いましたが、そんなに量は食べられないので、安い方の6,000円のコースを予約してあります。
それにしたってランチとしては結構な金額なので、それが安いか高いかの判断はこれから出て来る料理次第。
無論、目一杯期待して席についています😀
まずは飲み物。
お薦めの国産ワインや日本酒が揃っているようなのですが、いつも通り車で来ているのでドライバーはノンアルコール(泣)
「ワイン用ぶどうで作ったスパークリンググレープジュース」(700円)なんてものがあったので、これを注文。
気分と見た目だけは、スパークリングワインです。
コースの詳しい内容は、ホームページにも記載がなく、メニューも渡されていないので、料理が来てからのお楽しみというスタイル。
スフッフの方曰く、「前菜のような料理がどんどん出て来ます」とのこと。
まず出て来たのは、「茹で落花生」
落花生は隣の八街市の特産品ですから、これは出てくると思ってました😁
調べてみると、落花生も価格の安い外国産に押され、日本国内での作付け面積はピーク時の数分の一にまで減少しているそうで、今や国内流通の9割は外国産。
それでも畑でゆっくり自然乾燥させてから出荷する、千葉県産の落花生は味の良さで定評があるそうです。
地元の人は、自宅で食べるよりは贈答品として使うことが多いのだとか。
続いては「九十九里の海獲れ鰻」
これは珍しい。
鰻は海も移動すると聞いてはいますが、海獲れの天然鰻なんて水揚げは少ないはずですし、食べるのも初めてです。
「鰻重にして持って来てくれ」と言いたいところですが、それではコース料理がここで終わってしまいますね(笑)
ほんの一口だけでしたが臭みはなく、炭火で焼いたせいか香ばしくて、しっかりした味。
その次は「銚子沖金目鯛鱗焼き」
鱗はパリッと香ばしく、中の身はレア。
鱗を高温のフライバンで焼いた後、網焼きして脂を落としたとか。
この3皿目あたりで、既に「この店に来て良かった」と幸福感に浸ってました。
「自家菜園カボチャの花包み 栗のモンブランと自家製生ハム添え」
自家菜園があって生ハムも自家製とは恐れ入ります。パッと見て、これは何だろう?と思わせる外観で旬の味。
「チダイと天然ハタケシメジのスープ」
スープに溶け出すタイとシメジの旨味。
ハタケシメジはシャキシャキで、天然物らしく僅かに土臭い味が後から仄かに。
天然きのこは大好きです。
調理前の天然ハタケシメジを見せてもらいましたが、大きい!!
「カワムラフウセンタケとダルマイカ 肝和え」
かわむらふうせんたけ?? 初めて聞くキノコですが、これも調理前のものを見せてくれました。
傘の裏が紫色です! 天然キノコの色ですね。
イカの肝と一緒に食べたので、肝の味にキノコの味が隠れてしまいましたが、食感は良い。
お皿全体としても美味しい。
「千葉産小麦のフォカッチャ」
どーんと、見た目のインパクトがあります。
焼きたてアツアツで、中はモチモチの美味しいパン。
「九十九里浜産のホッキ貝 そうめんカボチャのニラソース」
ホッキ貝もニラも味が強い。そして新鮮な貝はやっぱり美味い。
「自家菜園サラダ ツルムラサキ ナシ 人参 ヤーコン」
相当本格的な自家菜園のようです。
そろそろメインだと思われますが、肉の網焼きが始まったようです。
牛かな?鹿かな?
ちなみに、手前に飾られているのは少し前の時期に食材になったスッポンの甲羅。
スッポンもいつかこの店で食べてみたい。
・・・さて、メインは
「房州産肉の盛り合わせ 房州鹿肉のロースと九十九里ビーフの赤身」
やった! 鹿肉ジビエです。
手前が鹿肉で、奥が牛肉。
夏鹿ってのも初めて食べます。
とても柔らかい肉質の赤身肉で、夏の鹿のせいか脂は少なくてサッパリと爽やかさのある味。
鮮度や処理が良いのでしょう、臭みなんて全くありません。
部位によっても違うのでしょうが、夏鹿ってこんな味なんですね。
牛肉は、九十九里(オーシャンスター?)ビーフ。
これも初めて聞く銘柄です。
それほど熟成はさせていない赤身肉で、夏鹿よりも淡白な味に感じました。
コースも終盤に来ると結構満腹感があるので、このくらいの赤身の方が美味しく食べられます。
続いて、「大銀杏タケと千葉産小麦粉の自家製パスタ」
事前に腹具合を聞いてくれるので、「少なめ」でお願いしています。
見せてくれた「大銀杏タケ」がこれ。
これも初めて食べますが、大きい!
シメジの仲間らしいですが、パスタに和えるとちょっと風味がある程度で、割と淡白な味。
もっとも満腹に近くなっていて、私の味覚は鈍くなってますが。
ここに来てスタッフから、「房州産のチーズがあるのですが、チーズはお好きですか?」との悪魔のお誘いが(笑)
もうほとんど胃に空きスペースはなかったのですが、「房州産チーズ」なんて聞いたことがなかったので、試さないわけにはいきません。一人分だけお願いしました。
確か左から、熟成の進んだブルーチーズ、フレッシュなブルーチーズ、白カビのチーズ。
添えてあるのは蕎麦の花の蜂蜜。
ブルーチーズは臭みがそれ程強くなくて、マニアなチーズ好きでなくても、誰もが美味しく頂けるような味で好み。
白カビチーズは、ヨーロッパからの輸入品と比べても遜色の全くない味わい。
どちらも間違いなくワインに合います。
日本の酪農の発祥地は千葉県だとは昔話として聞いてはいましたが、県内でこんな美味しいチーズが作られているなんて実に素晴らしい。
どこかで購入できるのか?聞き忘れてしまったことが心残り。
そして「早採れ蜜柑のシャーベット」で口直しのあとは、
「搾りたて自家製アイス」
なんと、オーナーのご実家は酪農家だそうで、そこの牛乳から作ったアイス。
そりゃあ、美味いはずです。
アイスの下には、熟れたイチヂク。
最後に珈琲か紅茶で〆ですが、砂糖とミルクの間の黒い粒々は「千葉県産黒糖」
千葉県産の黒糖!? 千葉でサトウキビも栽培してるの??
最後までビックリさせられっぱなしでしたが、サトウキビは東金市内で栽培している農家があるそうです。
白い精製された砂糖よりも、甘みが円やかでした。
ごちそうさまでした。
ローカルで珍しく房総愛に溢れた食材を、素材の味を生かした調理法で、少量づつこれでもかってくらい味わせてくれました。
これだけ楽しませてくれるなら、強気な価格設定にも十二分に納得。
驚きと満足でいっぱいです。
九十九里浜方面に遊びに行く際には、かなりオススメできるレストラン。
機会があれば、事前予約の上、是非どうぞ。
【Ushimaru】(ウシマル)
■所在地 千葉県山武市松尾町木刀1307-2
■営業時間 12:00-15:00 18:00-22:00
■定休日 水曜日 木曜日のランチ 第2火曜日
■最寄駅 JR総武本線 松尾駅 下車徒歩35分
■駐車場 あり