多摩ぐるぐる

東京都下『多摩地域』を中心に「食べ歩き(ランチ&ディナー)」「ドライブ」「旅行」「日々のあれこれ」を綴るブログ。

羽黒山・出羽三山神社「斎館」@山形県鶴岡市〜修験の山の精進料理


山形県庄内地方への旅行中、古より修験道の一大霊場である出羽三山の一つ、
羽黒山出羽三山神社に参詣してきました。
出羽三山は鶴岡市東方に位置する羽黒山月山湯殿山の三山からなり、江戸時代まではそれぞれ権現様を祀る神仏習合の修験道場でありました。
(羽黒町観光協会ウェブサイトより)

修験道
とは、古来神道的な山岳信仰に道教的なエッセンスを加え、仏教の教えで包み込んだ日本独自の宗教。
大自然に神性を感じ取る思想が、日本人の心情によくマッチしていると思います。

開山
は奈良時代よりさらに前の飛鳥時代、蘇我馬子に暗殺された崇峻天皇の皇子である蜂子皇子。
聖徳太子の手引きで海路を庄内地方まで逃され、ここ羽黒山に篭って修行を積んだ末に三山を開いたとされています。
とにかく遥か昔から、国内最大の修験道場として広く尊崇を集めいてる名高い山なんです。

もっとも、参拝の主目的はハードな修行では一切なく、羽黒山に伝わる精進料理を山の恵みとしていただくことです。
私の場合、擬死再生を目指して厳しい修行をしたら、心はともかく体は壊れて二度と再生しないんじゃないかな?


さて、泊まっていた海沿いの湯野浜温泉♨️からは🚘車で40分。

まずは山の麓にある国宝五重塔の見学に向かいます。
入口となる随神門から杉木立ちの中の階段を下り、やがて見えてくる朱塗りの橋を渡ると、そこから先は妻帯も肉食も禁じられた羽黒山の神域。

さらに10分程歩くと、森の中からポツリと一棟だけ建つ素木造りの国宝五重塔が突然現れました。
彩色された装飾や漆喰壁などがなく全て木製、古色蒼然としつつ均整の保たれた姿は、周囲を覆う鬱蒼とした杉木立ちともマッチして、とても神秘的です。一見の価値あり。

もっとも、元来神仏習合の山であった羽黒山は、明治新政府による廃仏毀釈によって多くの仏教伽藍が破却されてしまいました。
この五重塔の周りにも、本来はもう少し堂宇が建ち並んでいたはずです。

千年以上の歴史を持つ神仏習合の宗教を突然無理やり引き剥がし、歴史的建造物群を破壊した上に、日本古来の精神文化をも滅ぼそうとしたのですから、これは元「維新の志士」たちのやらかしたとんでもない蛮行であり、日本史の一大汚点。
残念なことです。

ここからさらに山頂の出羽三山神社までは、一時間ほどで登ることのできる石畳の参道が続いていて、そこには世界遺産となった熊野古道にも劣らないような素晴らしい風情があるそうですが・・・
・・・旅程上時間が限られ、日頃の修練も足りない我が身には少々ハードな道のり。

身の程をわきまえ、再び🚘車で有料道路を経由し、山頂駐車場までサクッと移動しました。
駐車場からは羽黒山、月山、湯殿山の三神(それぞれ現在、過去、未来を司る)を祀る三神合祭殿までは、もう緩い坂道しかないので歩くのも楽ちん。

麓でも小雨が降っていたのですが、山頂付近は雨と共に一面の霧。
山の天候ですね。
分厚い茅葺屋根が特徴の三神合祭殿が霧の中に霞む幽玄な姿を観ていると、ここは確かに神性を帯びた何者かに包まれていると思えてきます。

本殿の階段を上がって近づいてみると、彩色され精緻な彫刻が施された太い柱や梁はなかなかに荘厳で、これは信仰の厚さの証。麓の五重塔の素朴な姿とは、また趣きが異なりますね。

参拝の後、御朱印も頂いて一通りお参りとしては満足しました。
では、今回の訪問の主目的、羽黒山の精進料理を味わうために斎館へと移動しましょう。
斎館があるのは三神合祭殿を通り過ぎて、山道を少し降りた先。

斎館とは、本来は神職が神事の前に身を清めるために籠るための建物なのですが、羽黒山では信者への食事の提供や宿泊も受け付けています。

受付で食事の予約をしている旨を告げ、長い廊下を通って用意された部屋へと案内してもらいます。
途中には修験者の祈祷などが行われる畳敷きの大部屋が並んでいます。
「羽黒三所大権現」の額は、明治の神仏分離令の前まで末寺に掲げられていたものだとか。

通されたのは、廊下の一番奥の「勅使の間」
なんと昔から皇族など高貴な方々を迎えていた部屋なんだそうで、菊の御紋の透かし彫りがその格式を示しています。
実に風情があり歴史を感じさせられる書院造りの部屋で、こんな部屋を貸し切りで使わしてくれるとは大感激です!

しかし、予約時の部屋の指定は一切受け付けていません。
多分、繁忙期を外しての早めの予約、精進料理も何種類かあるので部屋に見合ったランクのものを注文、人数も多すぎない時に、運がよければ割当ててもらえるって感じでしょうか。

精進料理は、小鉢が7品付いた2,160円の御膳と、10品付いた3,260円の御前の2種類。
どちらも、周囲の山で採れた食材を伝統的な方法で調理したもので、古来からの修験者が口にしていたもの。

通常の精進料理の他に、近年増えてきた外国人旅行者にも配慮して、もう少し広く庄内地方の農産物を料理に取り入れ、彩りも鮮やかにしてある「出羽三山華の蔵精進料理」もあります。
そう言えば、ミシュラン・グリーンガイドに羽黒山も掲載されているそうですね。

今回予約したのは、その「華の蔵精進料理」の「涼風膳」(5,400)
昼食としてはいささか奮発しましたが、羽黒山のウェブサイトを見ると「涼風膳」は食器が瀬戸物ではなく、塗り物の器になるようで、その雰囲気と彩りにやられてしまい、予約してしました(笑)

運ばれてきた料理を見ると、3つのお膳に朱塗りの小鉢がたくさ並んでいて、精進料理とはいえ華やかさがあります。
料理は、胡麻豆腐の黒胡麻あんかけだだちゃ豆入りがんもどき虎杖(イタドリ)ととまと・じゅんさいの甘酢庄内米ご飯ときび汁
庄内地方では、トウモロコシの味噌汁って一般的な家庭の味なんだそうです。
知りませんでしたが、確かに甘くて美味しい。

次のお膳には、丸茄子のばんけ味噌田楽菊の海苔巻きずいきの長茄子ソースわけこと木耳の胡桃味噌和えばんけ味噌とはフキノトウ入りの味噌で、これも山形の味。
大振りな丸茄子と、ほのかな苦味のばんけ味噌がよく合っています。

こちらのお盆には、剥き蕎麦草もち青みずのだだちゃ豆ソースフルーツとしてメロン青みずはシャキシャキとした食感の山菜。
精進料理には華やかで高級感のある甘いメロンも、庄内砂丘の名産品。

いづれも地元の食材、山の滋養を取り入れた料理なのですが、中でもこれがないと羽黒山の精進料理とは言えない顔となる料理が、この自家製胡麻豆腐なんだそうです。
他の食材に余裕があっても、この羽黒山特製の胡麻豆腐がなくなったら、山の精進料理としては品切れとしているとのこと。
柔らかくて素朴な味で、昔は貴重な植物性たんぱく質だったのでしょう。
最後にお抹茶とお菓子を頂きました。精進料理ですから肉類は入っていませんが、草餅なんかもあって量もそこそこあり、すっかり満腹になりました。

惜しむらくは有名な月山筍というものを食べてみたかったのですが、料理に含まれておらずこれが唯一残念でした。
しかし季節毎に料理の内容が変わることは知っていましたし、春が旬の月山筍ですからこれは仕方ありません、
また次の機会を探しましょう。

それでもこの内容なら、日本の古来からの食文化に触れたい外国人旅行者はきっと喜んでくれるでしょうし、私も堪能しました。
修行まではできませんが、健康的な山の幸を体内に取り込んで、きっと私の運気も上がっていることでしょう(喜)

参拝と合わせての精進料理、羽黒山参拝の折には予約して是非どうぞ。
オススメです。
(出羽三山はもう女人禁制ではありません。念のため)



山形県鶴岡市羽黒町手向 羽黒町手向字羽黒山
鶴岡駅からバス50分
庄内空港から約30km


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