この日は、体調が良かったせいでしょうか?
普段は東京醤油系あっさり味ラーメンが好きなのですが、コッテリ豚骨ラーメンが無性に食べたくなりました。
それならばと、降り立ったのは西武国分寺線と拝島線が乗り入れる小川駅。
向かったのは、西口から歩いて4分ほどの『九州ラーメン いし』さんです。
西武線小川駅と聞いて思い浮かぶのは、東口にあるブリヂストン東京工場と、社宅などその関連施設。
旧軍の広大な軍需工場跡地に、九州の久留米が本拠地だったブリヂストンが東京工場として進出してきたのは1960年のこと。
昔は「駅を降りるとゴム臭い」なんて悪態もつかれていたようですが、少なくとも今は臭いません(笑)
当然、本社のあった九州の久留米から東京に引っ越してきた社員も多かったはずで、それら社員が故郷のラーメンを味わえるようにと開店したのがこの店なんだそうです。
そんな昔には、少なくとも多摩地域では豚骨ラーメンなんてほとんどなかったですからね。
この店は、10年ほど前までは東口のブリヂストンマーケットというスーパーにテナントとして入っていて、
強烈な豚骨臭を、他のテナントの営業妨害じゃないかと心配になるくらい、マーケット中に撒き散らしていました。
多摩の人間には強烈に感じた豚骨臭も、九州の人には懐かしい良い香りだったのかもしれません。
めちゃくちゃ新鮮な鮮魚を売っていた魚屋なんかもあって賑わっていたブリジストンマーケットも、
近くに大型スーパーが増えて客足を奪われたのか、10年ほど前に閉店し、取り壊されてしまいました(哀)。
その後、『いし』さんは西口に移転して営業再開したとの話を聞きましたが、再訪する機会が今までありませんでした。
さて、小川駅の西口におりたち、細い道を北へ向かって歩いて行くと、ありました。
モルタル2階建ての商店長屋の一角に入居しています。
目隠しがあってよく見えませんが、空いているようですね。
当時、他にはあまりない本場の久留米ラーメンとして、ラーメン本にもよく載っていた店なのでちょっと意外。
店の前までくれば、あの強烈な豚骨臭がしてくるかと思ったけど、それもないですね。
換気が良いのかな?
引き戸を開けて中に入ると、店内の座席はカウンター席のみ。
10年以上ぶりなので確信はないのですが、たぶん同じ店長が一人で切り盛りしています。
店内に入ると流石に豚骨臭がしてきますが、以前よりは弱いかな。
壁に貼られたメニュー表を見ながら、注文したのは『ラーメン餃子セット』(900円)。
このラーメン、単品なら600円。
リーズナブルな価格設定です(喜)
チャーシュー、たまご、紅生姜、刻みネギがトッピングされています。
スープは白濁していますが、それほど濃い色ではありません。
豚骨臭はあるものの、ギトギトの脂感はなくむしろアッサリ味に感じます。
麺は中細の柔らかい縮れ麺。
バリカタの博多ラーメンとは異なるようです。
きっと、本場の久留米ラーメンはこういう麺なのでしょう。
餃子は小ぶりのものですが、ニンニクが刺激的に効いていて美味しい。
ただ、ランチに食べるなら午後の予定をよく確認したほうが良さそう。
ごちそうさまでした。
なんせ10年以上ぶりだったのでハッキリとは言えませんが、以前はもっとスープに豚骨のパンチ力があったような?
私が豚骨ラーメンに食べ慣れてきたのかな?
それでも、食後しばらくすると胃もたれしてきましたので、脂分はそれなりにあるようですね。
調子に乗って、スープを完飲なんてしなければよかったんでしょうけど(笑)
麺も個人的には硬い細麺や柔らかい麺よりも、しっかり腰のある手打ち麺なんかが好きなんですが、これは久留米ラーメンです。
土地や時代の好みに流されずに、本場久留米ラーメンの姿を守ってくれたほうが面白いですね。
どうしてブリヂストンがこの場所に進出してきたのか?、またブリヂストンはどこから来たのか?
昔は社員向けのスーパーまであったのに今はないこと・・・等々、
西口にある久留米ラーメンのこの店は、もはや小川駅周辺の現代史・郷土史の一部と言って過言ではありません。
いつまでもこの小川で営業を続けていってほしいものです。
まぁ、私はこの街の出身でもなければ、九州の久留米に行ったこともないんですけどね(笑)。
【九州ラーメンいし】
◇所在地 東京都小平市小川西町3-18-10
◇最寄駅 西武線小川駅 徒歩4分
◇営業時間 11:30~15:00 17:00~24:00
◇駐車場 たぶん無し