旅行中にカフェで一休みするなら、食事や飲み物が一定以上のレベルでないと興ざめなのは勿論ですが、窓から見える景色やお店のロケーションも、店選びの大事なポイント。
その土地ならではの景色や雰囲気の中で、暢んびりした一時を過ごすことができるなら、旅行に来れた充足感が上がり、気分も癒されます。
夏の北信地方ドライブ旅行の1日目、長野市の隣町の須坂市内でランチをとった後、江戸時代に信州屈指の豪商として栄えた田中家の屋敷を博物館にした
『豪商の館・田中本家博物館』を訪問してみました。
ここでは、広大な敷地に建つ邸宅や蔵、それに几帳面に記録付きで残されている打掛けや調度品など、伝来の品々を鑑賞することができるのですが、一番のお目当ては、庭園を眺めながらお茶や軽食で一服できる
『お休み処 龍潜』。
館内見学コースの最後、ミュージアムショップの奥にあります。
『龍潜』は、博物館に入らなくても単独で利用できるようですが、折角ですから一通り見学していくことにします。
入館料は、大人750円。
ちなみに入館券を持っていれば、『龍潜』での飲み物が割引きになります。
入場後、展示館で田中家所蔵の品々を鑑賞した後は、庭園のある邸内を一回りすることができますので、季節毎に咲く花や紅葉も見どころとなっています。
この季節の花は、朝顔。
ヘプンリーブルーという品種の朝顔が咲いていました。
さらに進むと、敷地をぐるっと囲むように立ち並ぶ土蔵や、
お忍びで来る須坂藩の殿様のための門の前を通り過ぎて、
池泉回遊式の大庭が見えてきます。
田中本家では「栄耀栄華に耽ることなく質素倹約に暮らすべし」との家訓はあるようですが、須坂藩の御用商人として財を成し、士分に取り立てられた家の庭です。
確かに奇岩名石がゴロゴロしている豪奢な庭ではないかもしれませんが、十分風格があります。
カルガモと鯉もマッタリ寛いでいました。
須坂藩は石高一万石の城を持たない小大名で、殿様はすぐ近くにあった陣屋暮らし。
陣屋には立派な庭園などなかったでしょうから、殿様はこの庭が気に入ってよく遊びに来ていたそうです。
殿様もこの大きな石の上にも乗って池の鯉を眺めていたと、何かのテレビで紹介されていたような?
そうするとこの庭は、引き立ててくれたお殿様を接待する目的で造ったのかもしれませんね。
さらに立派な日本建築の間を進んでいくと、
「夏の庭」と呼ばれる中庭が見えてきます。
これが中庭なんですから恐れ入りますが、池の向こうの建物の中にお休み処『龍潜』があります。
ミュージアムショップの奥から『龍潜』の店内に入ると、
庭に面してテーブル席が並んています。
空調の効いた部屋から、大きなガラス窓ごしに中庭を眺められるので暑い夏でも快適(喜)
窓のすぐ外に「夏の庭」の名前の由来となった、大きな姫沙羅(夏椿)の木が見えます。
残念ながら花の時期は過ぎてしまいましたが、こんなに大きい沙羅の木ですから、白い花が咲く時期は見事だったでしょうね。
こちら龍潜では、殿様にお出ししたレシビを元に再現した「やまどりのお雑煮」などの食事をとることも可能ですが、
ランチはすでに済ませてきましたので、今回は喫茶のみの利用です。
注文したのは、コーヒーに
抹茶アイスに、
アイスカフェオレ。
この時期、中庭は花もなければ紅葉もしていませんでしたが、流れる水の音を聞きながら飛んでくるトンボなどを眺めていれば、十分に癒されます。
“こんなひと時”こそが至福。
大きな池のある庭なんて勿論、自分では造れませんし、あったとしても個人ではとても管理しきれません。
空調の効いた部屋から、人様が手入れしてくれたお庭を、お茶しながら眺められるんですから、入館料を別に支払ったとしても安いものです。
ある意味、殿様待遇と言えるんじゃないですかね(笑)
(本物の殿様が眺めていたのは、さっきの大庭の方でしょうけど)
展示物の入れ替えもあるようですし、庭の方も季節毎に趣を変えるでしょう。
また須坂市周辺を通りがかったら、立ち寄って休憩したいスポットです。
さて、まったりと過ごした後は、お土産に田中本家特製の味噌漬けはいかがでしょう。
我が家は漬物好きということもありますが、どれも上品なお味で美味しかったですよ。
【豪商の館・田中本家博物館】
▪️所在地 長野県須坂市穀町476
▪️休館日 毎週火曜ほか不定休
▪️駐車場 有り
【喫茶 龍潜】きっさ りゅうせん
▪️営業時間 11:00-16:00(15:30L.O.)
▪️営業日 土・日・祝日(平日は予約制)