関東の人間にとっては、
「歴史のある温泉地であっても、最近は団体客を中心に観光客が減ってきて経営に苦労している」
なんて話をよく聞かされているので、
「日本中、どこもそんなものなのかな?」
なんて鷹揚に考えていたのですが、どっこい人気の道後温泉♨️。
「よりリーズナブルな価格で満足度の高い宿を探そう」
なんて考えてネット検索を続けていたら、目を付けていた宿は次々と満室になってしました(泣)
飛行機とレンタカーの予約だけを取って安心していたのですが、道後温泉に泊まるなら宿の確保は早めにした方が良さそうです。
そこで、
「宿泊費は覚悟するから、兎に角、満足度の高い宿を探そう」と方針転換して、道後温泉2泊目の宿に選んだのは、
『別邸 朧月夜』(べってい おぼろづきよ) さん。
前日泊まった「大和屋別荘」さんより、さらに宿泊費のお高い旅館です。(汗)
何だか「道後で一番目と二番目に高いやつ持ってこい!」みたいな、成金趣味的な宿選びになってしまいました。
2泊するなら、同じ宿に連泊する方がずっと落ち着けるんですけど、どちらの宿も2日連続では部屋が空いておらず、やっと「最後の一部屋」づつを抑えたって感じになりました。
宿は、道後温泉駅からは歩いて5〜6分の位置。
道後温泉本館から、温泉街の通りをさらに登った先にありました。
高層ホテルの多い道後温泉にあって、3階建てでわずか19室の和風旅館。
それなのに敷地は広くて、エントランスもゆったり。
高級旅館のオーラをビシバシと感じます(喜)
門をくぐり、ツワブキの花が咲く前庭を横目に先に進み・・・
入口の扉の前に立つと、既にただならぬ品格が漂ってきて少し緊張。
扉が開くと、正面には屏風が飾られています。
誰か高名な書道家の作なのか?と読んでみると、
「菜の花畠に入日薄れ・・・」?なんで童謡の歌詞が??・・・あぁ!「朧月夜」ね!!
と、ちょっとホッコリ。
そのままロビーの方を向くと、なんと瀟洒な!!
和洋折衷の高級感、落ち着きのある垢抜けた設え、客室数から考えると十分過ぎる広さと、座り心地の良いソファー。
・・・このお宿は、何か単なる和風旅館以上のものを目指しているようです。
見たことのない形の、高級そうなオーディオも鎮座していています。
無料の飲み物コーナーには、
コーヒー・紅茶・ジュースに、ビール(!)まで揃っています。
特に珈琲の用意は素晴らしく、「モカ」やら「グァテマラ」やら「キリマンジャロ」やら、数種類の豆の中から好みの豆を自由に選んで、その場でミルで挽いたものを、
今ではもう生産していないと言うこのマシーンで・・・
ネルドリップ(!!)して・・・
挽きたて淹れたてで飲み放題(!!!)
素晴らしいです(歓喜)
だからと言って、そんなに何杯もは飲めませんけどね(笑)
似たようなサービスは他の旅館でも見かけますが、時間が経って煮詰まったような珈琲だったり、あまり好きではないエスプレッソマシーンで淹れた珈琲だったりすることが多いので、ここまでのサービスは初めて体験しました。
最高です!
湯布院の名旅館である無量塔さんでは、ラウンジに行けばいつでも珈琲を淹れてくれましたが、何度も行くのは気がひけるんですよね。
その点こちらでは、一度操作方法を聞いてしまえば、スタッフの手を煩わせずに挽きたての珈琲を勝手に淹れて飲めるので気が楽です。
もっとも好きに操作しているつもりでも、結局は斜め後ろあたりでスタッフが見守ってくれていましたけどね(笑)
お土産コーナーには高級感のある品物が並んではいますが、品数としては少なめ。
大和屋別荘さんもそんな感じだったので、温泉地全体を盛り上げるために「お買い物はなるべく『ハイカラ通り』で」的な申し合わせがあるのかもしれません。
ロビーだけで既に感動してしまいましたが、お抹茶をいただきながらチェックインしたら客室へと向かいます。
通された部屋は、庭を眺められる一階の「梅月」。
これがまた、和洋折衷のスタイリッシュな広い部屋で、期待していた以上のもの!
ベッドは広々。
マッサージ機があって、水周りもゆったり。
そして、道後温泉の湯が引かれた露天風呂!
広いっ!
アルカリ性単純泉の、柔らかなお湯に浸かりたい放題です!!
湯上りには、庭を眺めながらテラスで涼めます。
風呂に入って→テラスで涼んで→水分を補給して→また風呂に入っての無限ループ。
読みかけの本でも持って行ったら、もう至福の極楽です。
洗い場も、勿論あり。
冷蔵庫の中の飲み物は無料。
風呂上がりの水分補給にも心配はなし。
これ以上他に必要なものなんて、何かあったっけ?
一応、大浴場はあるんですけど、部屋風呂がこれだけ充実していると、行く必要はありませんね。
夜の庭はライトが灯って、さらに雰囲気が良くなります。
素晴らしいお部屋でした。
夕食は、個室の食事処で。
食事は和洋折衷ではなく、純粋な和食。
会席料理です。
前菜。
柿・栗・銀杏・菊と秋の季節感。
お通しの柿膾。
お椀は、零余子真薯。
お造りは、伊勢海老・太刀魚・縞鰺・鯛。
豪華で美味しいです。
炊き合わせ。
メインはこれですかね。瀬戸内天然鯛のしゃぶしゃぶ。
色艶が良くて身のしまった、さすが瀬戸内の天然鯛。
もう少し脂がのっていると良かったんですが、天然の鯛ですからそこまで調整は効きませんね。
続いて、焼き物は甘鯛の杉板焼。
甘鯛も高級魚ですよね。
ほんのり杉の香りがして文句なし。
酢の物でサッパリさせて。
最後に、ご飯とデザートになるのですが、満腹で撃沈。
確か、後で部屋に運んでくれたような気がしますが、酔っ払ってしまったので覚えてません(笑)
妻殿が食べたはずです。
会席料理ですから、大和屋別荘さんの夕食と同じような構成になりますが、食材など朧月夜さんの方が半ランク上に感じます。
地産地消で季節感があって、彩りのある繊細な料理が並んでいて、大満足の夕食です。
強いて何か言うとするなら、愛媛のブランド和牛なんかを組み込んであれば万人ウケしますかね。
私としては肉料理がなくても魚の方が好きですし、これ以上ボリュームがあっても食べきれないので、これでOKです。
朝食も昨晩と同じ個室で。
小皿も多く、彩りもあって華やさがあります。
愛媛名物の「じゃこ天」。
まぁ、ほぼ“薩摩揚げ”ですけどね。
使っている地魚の種類が異なるのと、薩摩揚げの方が食感がふっくらとなるように仕上げていて、「じゃこ天」の方は“素朴なすり身揚げ”って感じがします。
些細な違いですけど、旅行者にとってはそんなことも興味深い。
朝からデザートも頂きました。
仲居さんは朗らかな若い女性で、一所懸命に食事の世話をしてくれている様子が微笑ましくて気持ちが良い。
夕・朝とも満足感満点の食事になりました。
それにしても、こちらの『別邸 朧月夜』さんは、施設が抜群に素晴らしい。
広くて居心地の良い部屋に入ってしまえば、誰に邪魔されることもなく温泉を堪能して寛げます。
低層の建物で部屋数も少ないので、エレベーター待ちにイライラすることもなく、他の客を見かけることすら少ない、最高級のお籠り宿。
まだ新しい宿のようで、若手のスタッフが中心なのですが、対応は皆丁寧で大変好感が持てます。
まぁ、ネックはやはり宿泊費の高さですかね。
道後温泉が頻繁に行けるくらいの近距離にあるのなら、
もっと安いホテルに泊まってから
「道後温泉本館」で入浴→
→「道後ハイカラ通り」で喫茶休憩→
→「椿の湯」で再び入浴→
→「ハイカラ通り」か、市電で移動して「大街道」で夕食→ホテルに戻る
なんてコースもリーズナブルで楽しそうです。
でも、多摩地区からだと愛媛まで移動するだけで既に時間とお金がかかっていますから、それに見合ったより大きな満足感を得ようとするなら、こんな高級旅館に泊まることも「有り」だと思います。
我が家でまた松山空港を利用しての旅行をする機会があれば、「また、『朧月夜』に泊まりたい!」なんて話になるのは必定です。
2016.0103追記
BSジャパンの「聞き込み!ローカル線きまぐれ下車の旅」(愛媛県 伊予鉄道編)の再放送を見ていたら、地元のお姉さんから“道後一押しの宿”として「朧月夜」さんが推薦されて、的場浩司と安達祐実がに泊まっていましたね(喜)
https://www.youtube.com/watch?v=yGYWa3jXpXk
安達祐実ちゃんが泊まった部屋が、同じ「梅月」だっので嬉しくなりました。

番組中でのメイン料理は「伊予牛のしゃぶしゃぶ」でしたので、月によっては肉料理の時もあるようですね。
(ちょいと訂正)
【別邸 朧月夜】べってい おぼろつきよ
▪️所在地 愛媛県松山市道後鷺谷町4-4
▪️Web-site http://www.oborozukiyo.jp/
▪️予約サイト 【一休】で朧月夜を見る