昔、武蔵野台地は水田稲作には適さない土地で、代わりに小麦の生産が盛んだったことから、謂わば「うどん」の文化圏。
特に村山地区では、各家庭毎に饂飩を打つのが当たり前だったという程で、現在も「村山うどん」の店として暖簾を掲げる人気店が幾つもあります。
そんな「村山うどん」の中で、人気1,2位を競っているのが、
本格手打うどん『笑乃賛』(えのさん)。
店の所在地は、東京都武蔵村山市三ツ藤。
イオンモール武蔵村山の西側、入り口となる交差点から多摩大橋通りを挟んで向かい側にあります。
都内で唯一、鉄道駅のない武蔵村山市内にありますから最寄駅はありません。
公共交通機関としては、西武線の玉川上水駅からイオンモール行きのバスが出ていますが、15分くらいはかかるようです。
一方、駐車場は店の前に5台分程度用意されています。
イオンモールに買い物に行くついでないならば、車で行くのが便利な立地ですね。
大きな一軒家の、一階部分が店舗。
数年前に建て替えて大きなお店になっていますから、綺麗な外観です。
入り口横には、うどんの手打ち部屋が見えていて、正真正銘、本格手打ち饂飩の店であることをアピールしています。
暖簾をくぐると、テキパキとした応対で好印象な花番さんたちが迎えてくれました。
12時少し前の入店で、7〜8割程度の混み具合。
しばらくすると満席になりましたので、やっぱり人気店ですね。
席は、テーブル席とカウンター席、合わせて十数席程度。
外観から想像するほどは大きな店ではありません。
メニューを見ると、「肉汁つけうどん」といった村上・武蔵野うどんの定番メニューの他にも・・・
カレーうどん、変わりダネ的な「濃厚完熟トマトつけ麺」なんてのもあります。
麺の量は、並でも300g。
腹具合と懐具合で、増減できようになっています。
グラム数が併記されているので、量がわかりやすいですね。
ちょっとリッチに「肉きのこ汁つけうどん」を注文してしばらく待つと、
サービスというか、お通し的に「煮干の天ぷら」が出されました。
真っ直ぐで大きな煮干です。
煮干の天ぷらなんて初めて食べましたが、雑味もなくておいしい。
多分、出汁にも使っているのでしょう。
「煮干にもこだわってますよ」的なアピールと、うどんが茹で上がるまで、時間待ちのためのサービス。
面白い趣向です。
そうこうするうちに、やってきました『肉きのこ汁つけうどん』(780円)。
糧も添えられて、盛りつけ方が綺麗ですね。
肉汁の中には、大きく存在感のある豚バラ肉が2枚と、焼き目を入れたお揚げ、それにきのこ類。
艶があって、それほど黒くはないけれど、地粉色したうどんに食欲をそそられます。
啜って見ると、ガシガシと噛んで食べるような硬い武蔵野うどんとは、少々異なる食感。
讃岐うどん程ではないけれど、一晩生地を寝かせて腰を出させたようなツルツル感があります。
この喉越しの良さは、他の武蔵野うどんにはないですね。
讃岐と武蔵野の、良いところの両取りを狙っているようです。
ガシガシと噛んで食べる武蔵野うどんを食べたい気分の時に、このうどんを食べると少々物足りない気分になるかもしれませんが、特にコダワリがないのなら、一般的にはこちらのうどんの方が誰もが「美味しい」と感じるうどんかもしれません。
最後に手打の証、“うどんの耳”が出てきました(喜)
万人受けするからといって陳腐なわけではなく、完成度の高い手打ちうどんだと思います。
残念なのは、ここのお店も昼の営業しかやっていないんですよね。
個人営業で完成度の高い手打ちうどんを、昼も夜も提供するのは難しいのかな。
無理に手を広げて、味が落ちてもらっても困るので仕方ないですね。
ランチ時に車でこの近所に来た際、或いはイオンモール武蔵村山に買い物に来た時には、是非立ち寄ってみてほしいうどん店です。
本格手打饂飩【笑乃賛】(えのさん)
▪️所在地 東京都武蔵村山市三ツ藤1-86-4
▪️最寄駅 なし
▪️営業時間 11:00〜15:00
▪️定休日 月曜日
▪️駐車場 あり