八ヶ岳西麓から諏訪方面にかけては、蓼科や白樺湖、霧ヶ峰といった景勝地が連なる高原リゾート地帯。
真夏の東京の猛烈な暑さから、暫し逃れることのできる避暑地です。
その高原地帯の玄関口となるのが、JR中央本線の茅野駅。
八王子駅からは特急に乗って2時間で到達できます。
マイカー利用者の増加により、インターチェンジから駅前を素通りする人の流れが出来たため、今では賑わいに陰りも見られる茅野駅周辺ですが、西口からは高原行きのバスも出てもいるし、地域の拠点駅であることには変わりありません。
さて、その茅野駅に降り立った観光客がランチに何か食べようとすると、まず思い浮かぶのが「信州そば」。
でもこのエリアで味に定評のある有名蕎麦店は、どちらかと言うと車で行くのに便利なビーナスライン沿い、それも山の方に点在しているんですけどね。
そうは言っても駅徒歩圏にも、しっかりした蕎麦屋さんがないわけじゃありません。
その中で、駅からも近くてオススメしたい店がこちら、
『蕎麦処 ひな」さん。
数年前まで、この場所には違う名前の蕎麦店が入っていたはずですが、オーナーが替わったのでしょうか?
いつの間にか改装されていて、まだそれほどね年数の経っていない新しいお店です。
🌀アクセス
店があるのは、JR茅野駅の東口。
バスターミナルやショッピングビルがある西口とは反対側です。
駅前ロータリーのすぐ向こう側にあって、駅から至近。
駐車場も建物の裏側に数台分用意されています。
店の駐車場の他にも、茅野駅の周辺には2〜3時間までなら無料で利用出来る市営駐車場が何箇所か整備されていますから、そこに停めて駅前をブラブラ歩いてもいいでしょう。
とにかく、鉄道で来ても車で来ても、立ち寄るには便利な立地にあります。
🌀外観と店内の様子
店舗は3階建てのビルの一階。
清潔感のある店構えと、入り口にきっちりと掛った白い暖簾に「高めの店かな?」と思わせる雰囲気があります。
ただ、店内に入ってしまうとそれほどの高級感はなくて、素朴な街の蕎麦屋さんといった風情。
勿論、このくらいの雰囲気の方がホッと落ち着けます。
店内にはテーブル席が4つと、畳の小上がり席が5卓。
13時30分頃の入店時にはまだそこそこ混んでいましたが、空いていた小上がり席の1つに案内されました。
花番さんは、ご家族の方なのかな? メニューにも詳しいし、物腰丁寧。
客捌きもスムーズで好印象です。
(特に観光地の飲食店では、これ大事)
🌀メニューと料理
メニューを見ると、「そば」の他に「うどん」もあります。
「蕎麦にあまりこだわりがないのかな」とも思いましたが、花番さんに伺うと、
「お好みではありますが、うちの蕎麦は全て手打ちですので蕎麦をオススメします」
とのこと。
入り口の方を見てみると、確かにご亭主らしき方が蕎麦を打ち始めていました。
この信州で店を張るからには「素朴な店でも蕎麦は手打ち」ってのが、この店のこだわりのようです。
どこまで拘るか?ってレベルの話もありますが、何かコダワリと自信を持って仕事している店って好感持てますね。
それに、あらためてメニューを見ると「手打ち」にしては料金もリーズナブルです。
メニューをさらに見ると、セットものもありました。
天重セットが920円なら、安いですよね。
そんなわけで注文したのは、「天重セット」(920円)。
エビは一本だけですが、結構しっかりしたボリュームがあります。
蕎麦は、二八かな?
高級蕎麦店のように香り立つような蕎麦ではありませんが、整った綺麗なお蕎麦です。
喉越しも良くて、この値段の蕎麦としては合格点。
一方、同行の妻殿が注文したのは「天もりそば」(950円)。
こちらもリーズナブルな価格設定。
天重セットよりも、蕎麦の量が多くなっています。
でも妻殿は、私の天重がとっても美味しそうに見えたようで、
「同じような値段なら(むしろ30円安い)、天丼つきが良かったわ」などと言っていましたが(笑)
電気釜で炊けるご飯よりも、手打ち蕎麦の方がコストがかかるってことなんですね。
それでも、天ぷら付きの手打ち蕎麦が、茅野の駅前で千円以下で食べられるのですから、これはこれでお得。
またランチタイムには、セルフサービスでドリップコーヒーをいただけるようです。
香りが繊細な蕎麦屋の中で、コーヒーなんて淹れてどうするんだ?
・・・という意見もありましょうが、蕎麦を食べた後にはどうにも珈琲が飲みたくなるクチなので私は大歓迎です。
もっと値段の張る高級蕎麦店の中でなら、珈琲は考え物でしょうけどね。
こちらの「ひな」さんも、きっと昼のピーク時にはもっと混雑していたのでしょうが、花番さんがシッカリ対応してくれているので、客捌きの悪さににイライラさせられることもないんじゃないかな。
地元客も狙った抑えめの価格設定なのに、手打ちの蕎麦を食べることができて、接客にも問題なし。
ランチには珈琲も飲めて、駅から近くて車ても便利。
普段使いの蕎麦店として、これ以上何が必要でしょうかね?
美味い蕎麦屋の多い地域で、地元客が普段食べるのはこんな蕎麦屋なんだろうな・・・と理解できます。
ちなみに、大多数の方はここの蕎麦で十分満足して貰えると思いますが、
「折角のヴァカンスなのだから、もっともっと高くてもいいから、そば粉にこだわったさらに美味い蕎麦が食べたい!」
とか
「混んでいても構わないし、時間も十分ある!」
けど、
「鉄道で来たし、とにかく駅周辺で蕎麦を食べたい!」
なんて人には、
ビーナスライン沿いの塚原2丁目、駅から徒歩10分弱の「そばのさと」さんの方をオススメします。
お値段は高くて量は少なめ、行楽期の昼時は混み合っている店だけど、蕎麦の香りはこちらが上ですね。
逆に、時間もなければお金もかけたくない時には、茅野駅改札前の待合スペースにある立ち食い蕎麦の「白樺」さんが意外に人気。
特上生そばが、立ち食い蕎麦としては別格の味だとか。
そういえば、いつ行っても何人か立ち食いしてますね。
ニーズはその時々、人それぞれで様々ですからね。
茅野駅に降り立つことがあったなら、是非お好みの蕎麦をお楽しみください。