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レストラン『かぶと』@長野県富士見町〜鹿食免(かじきめん)だよ鹿肉ジビエ


ゴールデンウィークは、信州・諏訪方面へのドライブ旅行。

甲府から先は高速道から一般道に降り、あちこちで買い物するなどの寄り道をしつつ、小淵沢を過ぎてからは一路国道20号を北西に進路をとり、諏訪方面へと向かいます。
長野県内に入って富士見峠の交差点を通過し、さらに1.5kmほど先に進むと、この場所を通る度に何故だか目につく、一見別荘風の外観をもつレストランが現れます。

ステーキ・ハンバーグ・スパゲティと表示されていますから、洋食全般が守備範囲の
レステラン 『かぶと』さんです。

 🌀アクセス

所在地は、長野県諏訪郡富士見町富士見神戸
国道20号線富士見峠交差点と、富士見パノラマリゾート入り口交差点の中間にお店はあります。

店名の「かぶと」に余程の思い入れがあるのか、カブトムシのオブジェのような立派な看板が特徴的。

交通機関を利用しようとすると、JR中央本線すずらんの里駅から歩いて15分ほどとなりますが、あんな駅前に何もない無人駅を利用するのは、近くの工場の関係者しかいません。
実質的には車利用での来店がメインとなる、ロードサイド型のお店です。

駐車場は店の横、両側に数台分づつのスペースがあります。
さらに、国道本線部分から短く取り残されたような旧道部の路肩にも、数台程度は停めることができますが、そちらに停める際は自己責任で。


🌀外観と店内の様子

建物は、平家の一軒家。
ガラス窓が大きくとられていて、高原の別荘を思わせる外観には上々の雰囲気があります。

中央自動車道がまだまだ開通しておらず、国道20号線がもっと重要な幹線道路であった頃から、地元では評判の人気洋食店だったようで、もうかれこれ創業50年。
さすがに近づいてよく見ると、建物に古さも感じます。

13:30過ぎに到着すると、ランチとしては遅めの時間なのにもかかわらず、店内はほぼ満席の盛況ぶり。
老夫婦が切り盛りする店と聞いていましたが、迎えてくれたのは老婦人と、常に客席間を忙しく動き回っている主戦力の女性の二人。
ご亭主は厨房内で調理中なのでしょう。

幸い並ぶことなくテーブル席に案内してくれましたが、注文前に「調理に時間がかかるけど良いか?」と確認がありましたが、席に着けないほどの行列があるのなら兎も角、今さら他の店まで移動するのにも時間がかかりますから、「問題ない」と返答しました。

店内は天井が高く、設えは山岳リゾートのロッジ風、或いは昭和の喫茶店風。
ちょっと雑然とした感じはありますが、洋食店としては悪くない雰囲気。
半個室状の部屋が2箇所にあって、外から見て想像したよりも席数の多いお店です。

周りを見渡すと、なぜか洋食屋には不釣り合いなブロンズ像が置かれていたり・・・

壁に油絵が何枚も飾られたりしていて、昭和の時代のお金持ちの別荘のような風格も漂っています。

ここのマスターは、本当は芸術の道で身を立てたかったのかな?などと想像をかきたてられ、それもまた楽しくはあるのですが、食事客として見るべきなのはその脇に掲げられている諏訪大社「鹿食免(かじきめん)」の木札と、店内中央に鎮座する諏訪大社のお札

ここ諏訪郡富士見町も、7年に一度の御柱祭りで有名で全国に数多くの末社を持つ諏訪大社がある諏訪文化圏に属しますが、

この諏訪大社が広く信仰を集めた理由の一つとして、武神でかつ狩猟の神でもある諏訪の祭神が、狩猟のための殺生と肉食を許可する「鹿食免」という、謂わば免罪符を授けてくれたことが挙げられるそうです。

仏教の教えが浸透し、肉食が忌避されていた時代にあっても、この諏訪大社の鹿食免があれば、堂々と獣肉を食べることができたのだとか。
山がちで冬は寒冷となる地方にあっては、獣肉は生きていく上で欠かせない貴重なタンパク源だったはずですから、それを認めてくれる諏訪大社の教えは有り難かったことでしょう。

ちなみに諏訪大社の神事では、神様に獣肉お供えした後に、そのお下がりをいただくそうです。

また諏訪大社の教えは、
「業尽有情 雖放不生 故宿人身 同証佛果」(ごうじんのうじょう 放つといえども生きず ゆえに人身に宿りて 同じく仏果をしょうせよ)

すなわち「宿業の尽きた動物は、放っても長くは生きることはできない。したがって食べることで人の身に取り込み 己の身とともに成仏させよ(修行を重ねて共に仏の境地に至れ)」
ということなのだそうです。

ややもすると人の身勝手な考え方のようにも聞こえますが、生物が生き残るための必要最低限の殺生のみを許したと考えれば、地球上の食物連の実態とも合致する合理的な考えで、あながち仏教の教えとも矛盾しないのではないか?とも思えます。
・・・詳しいことは昔、手塚治虫の「ブッダ」という漫画を読んだ程度の知識しかない私には解りませんがね。

でも、神社が「仏果を証せよ」なんて教えてるところも面白いですね。
これが神仏習合ってやつですね。

まぁ兎に角、その「鹿食免」の木札が掲げられてるのですから、ここのお店は鹿肉ジビエ料理をだす気が満々ということです。


🌀メニューと料理

メニューを見ると、信州牛のみを使用したハンバーグステーキや、

ポークヒレカツ、チキンステーキ、ビーフシチューなどの各種肉料理、

それにこのお店の看板料理となっている、ボリューム満点で熱々のナポリタン鉄板焼き

さらに加えて、豪華なビーフステーキなどもあります。

しかし、年に何度も来るわけでもない遠来の客が、ここで奮発してでも狙うべきは、やはり地場産日本鹿肉のステーキではないでしょう。

いゃ、いつかウィンナー付きのスパゲティナポリタン鉄板焼きも食べてみたいですけどね(笑)


さて、妻殿が注文したのは、
「焼きトマトとハンバーグのトマトクリームソース定食」(1,890円)
少し心配しましたが、幸い注文してから30分はかからずに配膳されました。

富士見町を含めて八ヶ岳の山麓は、高原野菜も美味しいところですからね。
味のほうは、信州牛の挽肉に、焼きトマトなど野菜の甘みとベーコンの旨味が重なって、誰もが満足するであろう美味しさ。
ご飯と味噌汁に小鉢もついて、健康的でしっかりしたボリュームの定食です。

私のほうは、鹿ロース肉は地元も地元、富士見・茅野産の鹿肉であるとポードにも書いてもあることですし、

注文したのは「日本鹿のロース肉のステーキ定食」(2,200円)

ステーキは、肉厚のサイコロ状の鹿肉が4つ。

焼き加減はミディアム・レアってところでしょうか。
ジビエではあっても、鹿肉は元々柔らかくて比較的淡白な味の肉なので、筋などもなく適度な柔らかさで食べやすいです。
少し熟成させた肉なのか、ただ淡白なだけではなく、滋味深い味わいもありました。

塩胡椒で味付けされていて、ニンニクと辛子も添えられているのでお好みで。
ただ、臭みがなくて味わいの深い肉なので、余計な味付けは必要なく、調味料は塩胡椒だけで十分かもしれません。

鹿肉は美味しかったし、東京のスーパーで売っているような肉ではないので、もっと食べたい気はするのですが、そこそこのボリュームはありました。
ごちそうさまです。
市街地からは離れてはいますが、国道沿いのお店でこうして手軽に、地場産の鹿肉を食べることができたのですから大満足のランチでした。


ところで、どこの地方でもよく聞く話ではありますが、ハンターの減少とともに、ここ富士見町や茅野市内でも鹿が増えすぎてしまい、農作物や森林への食害が拡大しているようです。
鹿も姿を見ると可愛い動物なのですけれど、増えすぎると困ったことも起きてきます。
せめて狩った鹿の肉は諏訪大社の教え通り、きちんと流通に乗せて消費していけるシステムができると良いですね。
たまにやって来る観光客の身にできることは、お金を払って美味しく頂いていくことくらいです。

また、「かぶと」さんは、地元では知られた老舗洋食店なのですが、オーナーが高齢のため一度は閉店してしまい、その後また再開したという経緯があります。
メニューが豊富で、地場の鹿肉まで食べることができる貴重なレストランなのですから、これからも長く営業を続けて欲しいものです。


【レストラン かぶと】
■所在地    長野県諏訪郡富士見町富士見神戸1892 
■営業時間   11:30~15:00 17:00~21:00(L.O.20:30)
■定休日    木曜日 不定休
■最寄駅    JR中央本線 すずらんの里駅(但し、何もない無人駅で本数少ない)
■駐車場    あり



 

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