調布市内にある多摩エリア有数の古刹・深大寺。
国宝の釈迦如来像(白鳳仏)でも知られていますが、何と言っても有名なのは深大寺蕎麦。
国分寺崖線のハケ下に位置する深大寺周辺は湧水が豊富で、土地を潤す水源は水神様として信仰の対象ともなっていたようです。
一方、水はけの良い北側のハケ上では、土地にあった作物として蕎麦の栽培が行われていました。
蕎麦を栽培していて、近くに綺麗な湧き水があるならば、手打ちの蕎麦が名物となるのは必然。
ただ、江戸時代には盛んだった蕎麦の栽培も徐々に下火になり、現在では畑のあった土地は東京都に買収されてバラ園で有名な神代植物公園となっているのすが、ハケ上の土地が開発されずに公園となったことは、下の湧水をも守る上では大いに役に立っているはず。
蕎麦粉自体は質の良い有名産地から取り寄せることになったのですが、それでも門前には戦後から数が増えた蕎麦の専門店が沢山あって、レベルの高い店が多いとの評判に変わりはありません。
この日は月曜日で神代植物公園がお休み。
それに合わせて定休日となっている店も多く、人通りは普段よりは少なかったはずなのですが、それでも半分くらいの店は開店していて、散歩している参拝客の数も思ったよりも多かったですね。
民芸品やお団子の売っている店もあって、門前は賑やか過ぎない程度に楽しい雰囲気。
折角、人の少ない曜日に来れたので、いつも混雑している人気店まで歩いて行こうと思っていたのですが・・・
お寺のすぐ目の前の団子屋の前に「野草天ぷら盛り合わせ」なんてものがあるのが目についてしまいました。
これが妻殿のハートを鷲掴んでしまったようで、ランチはこの店に決定となりました。
深大寺の門前、すぐ目の前にある「八起」(やおき)さんです。
よく見ると湧水を取り込んだ池が店の傍にあって、なかなかの風情。
店先にいた何にも昔からこの店にいるような花番さんに伺うと、待たずに席に案内できるとのこと。
店内に入ると、参拝客や近所の常連さんらしきお客で9割くらいの入り。
隣の席が近く、ちょっと窮屈めな感じでした。
早速「野草天ぷら盛り合わせ」と蕎麦を注文すると、なんと、たった今品切れとなったとのこと。
妻殿のショックは大きかったようですが(笑)、気を取り直して「舞茸天ぷら蕎麦」と「天ぷら蕎麦」を注文しました。
こちらが私の注文した「舞茸天ぷら蕎麦」。
蕎麦自体は、忙しそうに繁盛している店だけあって少々ゴチャッとした盛り付けで、味や香りはまぁ、この界隈では平均的なレベルでしょうか。
量は、大盛りが有名な多聞さんほどでは勿論ありませんが、そこそこ不満のないボリューム。
天麩羅は、悪くはないけれど、専門店のものと比べるとボテっとした感じ。
こちらは、妻殿の注文した方の天麩羅。
蕎麦だけで比べると、門前でのトップクラスとは言えなさそうでしたが、何しろ店先の風情がいいお店ですね。
帰ってから検索して見ると、元は団子などの甘味を食べさせるお茶屋さんだったそうです。
なるほど、色々と納得です。
妻殿も味に不満はなかったようですが、やっぱり「野草天麩羅」を食べてみたかったようで、店を出てからもまだ残念がっていました。
「遠いところでもないのでまた来よう」と宥めて、帰路についたのでした(笑)
【八起】(やおき)
■所在地 東京都調布市 深大寺元町 5-13-6
■営業時間 9:00-17:00
■定休日 火曜日
■最寄駅 京王線調布駅からバス 深大寺下車
■駐車場 周辺の有料駐車場利用