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鳥すきやき「ぼたん」@神田須田町〜本物の昭和レトロ味わえます

神田駿河台の山の上ホテルに宿泊した日の夜、
再び神田須田町までぶらぶらと歩き、夕食は予約しておいた鳥すきやき「ぼたん」さんへ。

ぼたんさんは、昭和初期から同じ建物で営業し続けている老舗の料理屋で、鬼平犯科帳の池波正太郎も通った店。
私の学生時代には前を通ることはあっても、とても入れるような料金の店ではなかった、いわば憧れの店の一つです。

駿河台から神田須田町への道筋には、専ら大学の校舎やオフィスビルが立ち並んでいますから、週末の夜ともなると人影はまばら。

途中、本郷通りを横断するところでは、街灯の光にうっすらと浮かぶニコライ堂がエキゾチックな姿を見せてくれます。

神田須田町まで歩いてくると、いせ源さんの前にだけは人だかりがありました。

当日受付の順番待ちでしょうか。

甘味処の「松むら」さんもまだ営業中のようです。
昼間見ても風情のある建物ですが、夜、灯に照らされた姿も趣があって素敵です。


甘辛両刀の池波正太郎は、いせ源かぼたんで鍋をつつきながら一杯やった後、締めにここのお汁粉を好んで食べたとか。
先輩だか悪友だかから「見てて気持ち悪い」等と揶揄われようと、「何が悪い」と言い返して止めなかったと、何処かの随筆に書いてあったはず。
私も気持ち悪いとは思いません。甘かろうと辛かろうと、旨いものは旨い(笑)


明治時代末の創業 鳥すきやきの専門店

「ぼたん」さんのお店の窓からも、控えめな灯りが漏れてきています。

人が集まっているのはいせ源さんの前くらいで、繁華街にあるような雑多な騒々しさはなく、周囲は落ち着いた雰囲気。
そろそろ予約時間となったので、入り口に向かいます。


大正・昭和の風情を残す東京都選定歴史的建造物

ぼたんさんは明治30年頃の創業以来、鳥すきやき一筋の店。
創業は明治時代で、現在の店舗は関東大震災の後、昭和4年に建てられたもので、奇跡的にその後の戦災を免れたため、当時のままの姿を今に残しています。
近所のいせ源神田まつや竹むらとともに東京都選定歴史的建造物
とても貴重です。

この入り口から引き戸、玄関の式台までのレトロな風情には、堪らないものがあります。
時代小説の舞台に迷い込んだかのよう。

玄関に入ると、下足番さん(!!)がいるので、靴を預けて上がります。
今どき、下足番がいる飲食店になんて、私は数えるほどしか来たことがありません。

すぐ正面には、大きな庭石と灯籠の置かれた中庭がドーンと鎮座してます。
なかなかの風格!
磨かれて光る、年季の入った建具にも味があります。

席は二階のようで、仲居さんが案内してくれました。
手摺りなんかも、ピカピカに磨かれていて気持ちが良い。

しかし、昔の建物ですから仕方ないのですが、この階段は随分と急ですねぇ。
私はまだこのくらいの階段の登り下りは苦にしていないので、純粋に古民家の風情を楽しめますが、もう少し歳をとったら厳しいかな。
そんな時は、一階の個室を予約することもできるようです。
個室の予約は5名から。

二階は二間続きの大広間になっていました。
屏風で仕切られたスペースに、小さな卓と座布団が並べられています。


この大部屋スタイルも、明治・大正の時代から変わっていないのでしょう。
「鳥すきやき」ってのは、料亭の個室で食べるほどの高級料理ではないけれど、庶民のたまの贅沢として食べるものだったのかな?

席には使い込まれた小さな座卓が一人一卓、セットされています。


これも昔ながらのスタイルかと思いますが、初老を過ぎた現代人には、低い座卓と座布団の組み合わせは、足腰がちと辛い(哀)
頼めば座椅子は用意してくれるようです。


メニューは鳥すきやきの一択

メニューは、「鳥すきやき(9,000円)を人数分」、これ一択。
専門店らしく、実に潔い。
並や上の区別すらありません。

サイドメニューとして、「焼き鳥・もつ焼き」、「立田揚げ」、「卵焼き」なんてものがありますが、基本的に必要ないでしょう。
結局、材料は鳥すきやきと同じく、鶏肉と玉子なのですから。

注文が終わると、本物の備長炭に火の入った火鉢と、小振りな鉄鍋が運ばれてきます。

電気もガスも使わない大正から昭和初期、そのままのスタイル(喜)
ここでガスコンロなんか持ってこられたら、興醒めもいいところですから。
使い込まれた鉄鍋も「ぼたん」と名前の入った専用の鋳物です。

具材は、モモ、ムネ、カワ、モツなどの色々な部位の鶏肉とツクネ、それにネギ、しらたき、豆腐が添えられています。


上の写真で二人前の量。

鍋が小さいので、何度かに分けて食べては煮込むを繰り返すのですが、最初の一鍋目は仲居さんが見本を見せてくれます。

手際よく具材を鉄鍋並べてから、上から割下をざざっとひと回し。

火力の強い備長炭ですから、すぐに食べ頃。

炭火なので、火力調整はできません。
ビールなど飲みながらパクパクと食べるのですが、煮詰まってきたら薄い色の方の割り下を足して薄めます。

火が通ったら、溶き卵につけていただきます。

鶏肉は錦爽どりという、千葉県のブランド鶏を使用しているそうですが、備長炭の強い火力で煮立たせても、縮まって硬くなりにく肉質。
モモ、カワも旨いけど、モツの部分がまた旨味があって美味しゅうございました。

つくねもまた、結構なお味で。

美味しくて、結構なスピードで食べていたら、「あれっ、足りないかも? もっと食べたい」と思えてきてしまい・・・

やき鳥」と「もつ焼」を、つい2本づつ追加注文。

どちらも、ふっくらとした焼き上がりで、特にやっぱりもつ焼が美味しかった。

さらに調子に乗って、鶏肉のお替り(中皿)まで追加してしまいました。
・・・と、ここまできたら、急に満腹感が,,,,

そろそろと思い、仲居さんにご飯をお願いすると、御櫃に入れて持ってきてくれました(喜)
御櫃ごはん…もう、完璧です。

何故かデザートにミカンがつきますが、これも昔からの伝統らしいです。みかんは今より貴重だったのかな?

仲居さんから「卵を追加すると、残った具を親子丼にできます」と、お勧めいただいたので、卵を追加注文してお願いしました。

腹も苦しくなってきたけど、この鍋を見たら頑張らざるを得ません(笑)

汁だくにして・・・はい、美味しいです。

まだ、御櫃にご飯が残ってたけれど、一杯でギブアッブ、満腹です。

好奇心もあって、色々と追加注文をしてしまいましたが、締めのご飯のことも考えたら、鳥すきやき一人前で十分適量なボリュームでした。
満腹だけど脂で胸焼けしなかったのは、下処理が良いのか?それとも鶏の肉質が良かったのか?

さて、緒物価高騰の影響を受けて、一人前で9,000円に値上がりしてしまった「ぼたん」の鳥すきやきですが、さすがに安いとは思いません。
でも、この本物の歴史的建造物の中で、昔ながらの料理をレトロな雰囲気とともに味わえるのですから、それだけの価値があると思います。
憧れのお店でしたしね。
これで老舗であることに胡座をかいて、接客態度が悪かったりしたら、二度と来ることはないでしょうけど、そんなことは全くなく、気持ちの良い応対をしてもらいました。

せっかく満腹で幸せ気分になったけど、これから電車に乗って帰るとなると、ちょっと面倒ではあります。
でも、今日は山の上ホテルに泊まりなので、10分歩いて帰るだけ。
うん、このパターン、贅沢だけど凄くいいなぁ。


店舗情報

■所在地   千代田区神田須田町1-15
■営業時間  11:30~21:00
■定休日   日曜日
■最寄駅   丸の内線 淡路町駅下車 徒歩2分
       都営新宿線 小川町駅下車 徒歩3分 



 

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