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かいせき井中居@青梅〜まさかのお別れ(泣) 次は燈々庵で

色々と釈然としないことはあっても、ようやくコロナも〝ただの風邪〟に成り果たとされて迎えた今年のGW。
しかし、反動で行楽地は大混雑だと聞くし、そもそもこの3年ほど長距離移動も控えていたので、旅行をするのもまだ億劫というか、気力が戻らないというか。
それなら近場でちょっと贅沢な食事でもしようかと、ネット検索していると、なんと青梅の懐石料理店「井中居」さんが閉店してしまうとのこと(驚)(驚)
なんでやねん!

全くもって、なんてこった!!

人混みや渋滞が復活しているとは言え、この連休中に遠出をする気にならなかったのは、この3年の間で、自分の体力の低下を感じてしまったせいでもあります。
これからは長距離旅行に替わって、この井中居のような、「東京近郊の雰囲気の良い料理屋で、食事を楽しむ機会を増やそうかな」などと思った矢先だったのに…..
おぉ、井中居よ、閉店してしまうとは何事だ!

しかし、「サヨナラ」ダケガ人生ナノカ?
せめて最後にもう一度と、GWに予約して伺いました。


外観と店内の様子

井中居さんの所在地は青梅市藤橋。
駅からは距離があるので、車で向かいました。

周囲を囲む、柿渋塗りの黒板塀の内側は竹林となっていて、その中の小径を母屋に向かって歩きます。

この景色を見るだけで、小旅行にきた気分に浸れます。

竹林の向こうにあるこの土蔵では、食後の珈琲が飲めたり、土産品を売っていたり。
とっても絵になる景色、実に良いですねぇ。

少し進むと、楓の枝葉の間から母屋が見えてきました。

この玄関の風情も良き。

こんな家に住めたら素敵だなとは思いますが、そんな財力は勿論ないし、もし間違って住めるとしても、庭を管理する手間を考えただけで、ご辞退申し上げてしまいますから。
素敵なお屋敷には、たまに食事にお邪魔するくらいが、ちょうど良いのです。

玄関から上がると、一階にはいくつかの個室と・・・

休憩スペースというか、板敷きの小ロビー的な空間があって・・・

置かれた家具は、民芸調あるいは李朝風で統一されている、落ち着いた空間となっています。

棚に並べられているのは、楽茶碗や鶏龍山の徳利、李朝写しのぐい呑み等々。

これも良いですねぇ、見ているとつい欲しくなってきて、ウキウキ気分になってきます。

さて、案内された席は階段を上がった二階。

廊下に飾られた、何やら愛らしい人形は、よく見ると端午の節句ではないし、お顔を見ると季節遅れのひな祭りにしては年齢が高すぎ(笑)


5月5日を過ぎると、ジジババの節句にでもなるのかな?
私も含めて、ここの客の主な年齢層と重なっているので、とっても親近感が湧いてきます。

案内されたテーブル席からは、格子越しに庭の楓の新緑が窓一面に広がって美しい。
これぞ日本の風情。

閉店するなんて知っていたら、この緑が、今度は一面の紅葉に変わるであろう秋にも来たのになぁ。
そのうちに・・・なんて悠長に考えていたら、機会を逃してしまいました(泣)


メニューと料理

この店は、カテゴリーとしては料亭になるのでしょうね。
メニューとしては、コースが3種類。
真ん中ランクのコースを予約してあります。

井中居さんの料理は、とにかく季節感があって、食器も含めた見た目が美しい。

まず人数分の前菜が、まとめて見栄え良く、お盆に並べらて運ばれてきますので、盛り付けを一通り愛でたあと、各自の折敷に取り分けます。

季節的に、今日のお目当ては、旬の山菜食べたかったんですよね。
竹筒に入っているのは、うるいのお浸し

うどこごみのごま味噌がけもあります。

丁寧な仕事のわらびの小袖寿司なんて、食材があっても自宅では作る気にはなかなかならない。

今年も山の方へは遊びに行かなかったので、この時期ならではの山菜料理を食べることができて本当に嬉しい。

端午の節句ですから、縁起物のちまきもありました。

椀盛は、馬鈴薯餅のあられ揚げ

彩りに、芹と山椒の若葉がちょんと載って、お出汁は料亭的な上品なお味。

お造りは、サーモン

庭の竹林から切り出して、食器にしているのかな?
涼しやかで、これも風情満点。

サーモンは脂がのっていて美味しかったけど、ここで奥多摩やまめの刺し身でもだしてくれると、地域色があってさらに良いのだけども。
供給量が安定していないのかな?

美味い刺身があると、車でなんて来ないで、日本酒を飲めば良かったと、いつも思いますね。

揚物には、山女魚のから揚げ

香ばしく揚がっているので、頭からムシャムシャ食べられます。

炊合には、丸なす含ませ煮。

このあたりで、私はもう腹八分かな。

止肴として、さっぱり味の新玉葱サラダ

食事はご飯ではなく、かき玉蓬うどん

ボリュームが意外とありました。
これは、五日市の寿美屋のうどんかな?

水物には、焙じ茶ぷりん苺大福

フルーツや黒豆がトッピングされた上品な甘さ。
大福も含めて、大人も楽しめるデザート。

茶懐石の体をとっているのですね。
お抹茶で〆となります。

季節の食材も堪能したし、満腹で満足。
日本酒やビールなんか飲んでいたら、食べきれなかったかも。

「食後はどうしても珈琲を飲みたい」という人のために、帰りがけに外の離れの土蔵で、珈琲をサービスしてくれます。
今回は、このあと予定があったので立ち寄りませんでしたが、至れり尽くせりのサービス。

仲居さんの接客も終始、丁寧で気持ちが良かったし、こんなお店が閉店してしまうなんて、本当に残念です。

あんまりに名残惜しい気分だったので、一階で李朝写しのぐい呑みと、使い勝手のよさそうな伊万里の小皿を記念に購入していきました。

ぐい呑みは、対馬で神主さんもしている、陶芸家の武末日臣さんの作品でした。
私の趣味にどストライク。
これも何かの縁ですから、予定外の散財もしかたありませんね(笑)

こんな和の美意識に溢れたお店がなくなってしまうなんて、返す返すも残念!
コロナが悪いのか、人手不足が悪いのか、国民の所得が上がらないのが悪かったのか?、理由は知りませんが。

でも、あきる野市内の系列の黒茶屋燈々庵は、今後も営業を続けるとのこと。
特に燈々庵は、こちらの井中居と雰囲気が似ていますから、次はそちらに伺うことにします。

井中居も、6月15日までは営業していますので、ラストチャンス、予約してみてはいかがでしょうか。


令和5年6月15日まで

■所在地    東京都青梅市藤橋2丁目32
■営業時間   11:00~17:00
■定休日    火曜日
■最寄駅    JR青梅線河辺駅又は小作駅 下車タクシー
■駐車場    有り