あきる野市内の睦橋通りを休日ドライブ中。
新蕎麦のシーズンですから、昼飯には蕎麦を食べて行きたいところです。
幸い近くには、信州蕎麦の「たか瀬」や、東京軍鶏の「いぐさ」など、美味い蕎麦屋がいくつもありますが、近頃はテレビ等で紹介される機会が増えているようなので、特に休日は以前にも増して混雑していそう。
この日は、気合をいれて行列に並ぶほどの気力はなかったので、もう少しマイナーで、目立たない場所にある店に行ってみることにしました。
睦橋通りから折れ、裏道をくねくねと曲がった先にある、初訪問のお店です。
🌀アクセス
加賀屋さんの所在地は、あきる野市山田地内。
最寄り駅は、JR五日市線の武蔵増戸駅。
駅からは距離にして1km弱、歩いて15分程度の位置にあります。
車なら、五日市街道の山田会館前交差点を南側に曲がり、路地の突き当りを右折、保育園とお寺の前を通り過ぎ、「家庭料理むう」の前のT字路を、「加賀屋入口」の小看板を見逃さないように左折した先にあります。
ゆるい下り坂の途中で、店の敷地内に入るスロープがありますから、右折して登っていきます。
このスロープは一車線分の幅しかないので、前から車が来やしないかと不安になりますが、小さなお店ですから、まぁ大丈夫でしょう。
駐車場は、お店の前庭部分に、数台程度分のスペースがあります。
今回は一番奥まった場所に先客の車と並ぶように停められましたが、枠線もないので、混んできたらどのように並べるのが正解か、ちょっと悩みそうな緩い配置になってます。
今回は、先客は車一台分だけで(あとは店の車?)、駐車場所にも困らなかったし、店の前で列に並ぶような混雑具合でもなかったので狙い通りで一安心。
🌀外観の店内の様子
お店の外観としては、庭が広くて、造りの古い、よくある田舎の一軒家。
その一部分が蕎麦屋となっています。
昭和51年の開業だそうで、看板もだいぶ古ぽけてきていて、一見すると「この店大丈夫かな?」と不安がよぎるくらい。
増築を繰り返したのか、L字型に並ぶ建物のうち、一番古そうな真中部分がお店の入口。
その店舗部分が元からある旧宅で、右側の新しい建物が今の居住スベース、左側がお店のために増築した厨房部分なのかな。
入口前に自転車用のラックが置いてあるので、西多摩サイクリング途中の客も呼び込んでいる様子。
屋外にテラス席が一卓あるので、ペットと一緒に来ても食事ができそうです。
入口の「加賀屋」と書かれた木の看板と、縄のれんが良い風情をだしていますね。
横の棚には、柿と藤つる(!)が「ご自由に」と書かれて置かれてあって、本当に「ド」が付くくらいの田舎に来た気分。
いやだって、藤つるなんて、都会の人は使い道ないでしょう(笑)
風情としては、大変「良き」で、ほっこりした気分になりました。
別の紙に「現金払いのみ」とも書かれていますが、この店構えを見ると、「あぁ、そうだよね」と納得できてしまいます(笑)
だって、この店構えでカードとか電子マネーとか、似合わないもの。
店内に入ると、これまた田舎の親戚の叔母さん的な、気の良い感じのベテラン花番さんたちが迎えてくれました。
席は、靴を脱いで上がる二間続きの座敷席となっていて、奥の間に四人掛け座卓が2つと、
入口側の小上がりに座卓席が一つの・・・
計3卓があります。
この畳の古ぼけた感じは、正真正銘の田舎の古民家といった風情があって、懐かしさを感じます。
それに加えて、窓側の眺めの良いテラス状の縁側にも座卓席が2つ。
すべて合わせると四人掛けテーブルが5卓となりますが、あまり大きな店ではありません。
身なりの良いスーツ姿の先客グループは奥の間に陣取っていたので、ありがたく縁側席に座らせてもらいました。
お店はちょうど秋川の河岸段丘(ハケ)の縁に建っているようで、窓からは梢こしの眼下に、秋川の流れと山田大橋を眺めることができました。
ポカポカと日差しも差し込んで眺めも良く、ここはなかなかに心地よい特等席です。
建物全体からは、かなりのレトロ感が滲み出てきています。
これはいつぐらいの建物なんでしょうね。昭和30年代くらいか、もっと古いのか?
縁側席は、もとはベランダだったものを、後で改築して屋根を伸ばして室内に取り込んだのかもしれませんが。
少なくともある年代以上にとっては、日当たりも眺めも良い畳敷きの古民家って、実に居心地良くリラックスできる空間なのです。
🌀メニューと料理
メニューを見ると、冷たいお蕎麦が4種類と、温かいお蕎麦が3種類の計7種類。
レパートリーは少ないのですが、「すべてのそばにサービスで野菜の天ぷらがつきます」と書かれているので、不足感はないかな。
ビールはあるけど、特にツマミのメニューはないようなので、蕎麦前を楽しんで長居する店ではなく、純粋に昼飯に田舎蕎麦を食べて帰る店となっています。
裏面の注意書きを読んでみると
・大盛りの用意はない(ハーフサイズの「もり」「かけ」はある)
・つなぎは、山芋、地粉、玉子を使用
・営業は3:00PMまでだが、売り切れ次第閉店
・茹で釜の大きさに限りがあるので、混んでいると30分以上待たせます。ごめんなさい。
とのこと。
ちょうど先客のスーツ組の蕎麦が、一人につき2つずつのお盆で大量に運ばれていったところだったので、一体何事かと思って驚いていたのですが(大食いサラリーマン?)、そうか、大盛りがないから、ザル一枚かハーフサイズを追加で注文していたのですね。
私達が注文したのは、妻殿の「とろろそば」(1.200円)と、
私の「冷やしたぬきそば」(1,300円)。
きんぴらの小鉢と、サービスの野菜天ぷらが付きます。
こちらの蕎麦は、奥多摩エリアで昔からよく見る、チラチラと星の散った太打ち田舎そば。
しっかりとした食感があります。
つなぎに山芋と玉子が使われているのですね。
江戸前蕎麦のように、細切りで喉越しを楽しむ蕎麦とは対象的に、ワシワシと蕎麦を噛んで味を楽しむ田舎そば。
私はどちらの蕎麦も好きですよ。
田舎蕎麦には、こうやって天かすやら海苔やらをまとわせて、しっかり汁に浸して食べると美味しいです。
蕎麦粉は、北海道幌加内産とのこと。
調べてみると、幌加内は蕎麦の生産量が日本一で、甘みが強く癖がない上品な食味が特徴だそうです。
私の舌は、蕎麦粉の産地の区別ができるほど育ってはいませんが、確かに田舎蕎麦にしては、蕎麦の外殻の部分のクセの強い風味は感じなかったかな。
でも噛んで食べたときの蕎麦味はしっかり感じて美味しいので、そう言われてみると、成る程、これが幌加内産蕎麦の特徴なのかな。
うん、国産バンザイ!
野菜天ぷらは、おやつ的に畑の野菜をチョチョット摘んできて揚げました、って感じのもの。
いやいや、ありがたいです(喜)
カボチャと、紫蘇の葉と、あと何だったかな?
これは紫蘇の花かなぁ。
蕎麦にちょっと天ぷらが付くのと、付かないのとでは、味わいと言うか満足度が大きく違いますから。
ここの店のサービスの良いところは、まず蕎麦汁のお代わりができること。
左側のソース指しのような器に、タップリと汁をいれて置いてくれます。
蕎麦汁に命とプライドと費用をつぎ込んでいるような蕎麦屋では、タダで汁のお代わりなんて出してくれませんからね。
さらに嬉しいことに、ぶっかけ蕎麦を注文した客にも、蕎麦湯をサービスしてくれます。
そしてなぜか、そば猪口の中に、蕎麦を少し入れておいてくれるんです。
こんなサービスは、私は初めて(驚)
「かけそば食べた時にも、蕎麦湯は飲みたいでしょ」とか、
「こうして少し蕎麦があった方が、蕎麦湯も美味しいでしょ」と、言ってくれているかのよう。
いやぁ、加賀屋さん、わかってらっしゃる(喜)
蕎麦湯は、特に蕎麦粉を溶き足していない普通の釜湯。
物価高のあおりを受けてか、経費節減で蕎麦湯のサービスを止めてしまった店もあると聞きますから、あるだけで十分嬉しいです。
美味しゅうございました。
妙に寛げる、田舎蕎麦の美味しい、隠れ家的な蕎麦屋でした。
キャパの小さいお店のようなので、大人数での訪問や、時間に余裕のないときの訪問は控えたほうが良いかもしれません。
満足して店を出ようとすると、駐車場の向こうの何かと目があった気がします(笑)
茶トラの猫ちゃんじゃないですか。
聞くと、ここの飼い猫だとのこと。
おっ、近寄っても逃げませんね。
お見送りしてくれるのかな?
頭をナデナデさせてくれました。
カッ、カワイイ!
こりゃ、駄目だ。再訪問決定です(楽)
まぁ、猫ですから、いつもいるとは限りませんが、運が良ければまた会えるでしょう。
手打そば『加賀屋』
■所在地 東京都あきる野市山田962-1
■最寄駅 JR五日市線武蔵増戸駅 下車徒歩15分
■営業時間 11:00-15:00(売り切れ次第終了)
■定休日 月曜日(休日の場合は翌日)
■駐車場 あり(8台)