数年前まで、小金井公園に近い小金井街道沿いに、甚五郎という手打ち蕎麦と饂飩の店があったのですが閉店してしまいました。
どちらかというと饂飩がメインの店で、メニュー数が多く、駐車場も広かったので何度か足を運んでいたものですから、閉店を残念に思っていました。
その甚五郎が、花小金井駅に程近いところに場所を移して復活再オープンしたと聞いたので、大いに期待しつつ、ランチに行ってきました
新店名は、蕎麦処『甚五郎』さんです。
今度は蕎麦が主役の店となりました。
🌀アクセス
蕎麦処 甚五郎さんの所在地は、小平市鈴木町2丁目。
最寄り駅は、西武新宿線の花小金井駅で、南口に降りてから徒歩4分ほどと駅近。
小金井街道を横断し、花屋さんのある角を西へ曲がって三中通りに入ると、三軒先の家屋がお店になっています。
駐車場は店の前に3〜4台分だけ用意されていますが、やや狭苦しい。
軽自動車くらいの大きさなら問題ないでしょうが、自分の車をここに停めるのには、少々不安がありました。
私は、小金井街道沿いに100円/30分のコインパーキングを見つけたので、そこに駐車。
自腹にはなりますが、なに、1時間半停めても300円ですから安いものです。
敷地内に駐輪場はあるので、自転車やスクーターで立ち寄るなら、何も問題はありません。
🌀外観と店内の様子
店の外観は、立派な門付きの大きな日本家屋で風格あり。
オーナーの自宅を改装して、新店舗としたようです。
先代の店主が引退して一旦店を畳んだのち、外で修行していた二代目店主が店名を引き継ぎ、蕎麦メインの店として再出発したとのこと。
中休みなしの通し営業の蕎麦屋なので、週末なんかは時間を気にせずに立ち寄れて便利です。
門構えが立派で、一見料亭かと見紛うような高級感があるので、事前知識がないと入るのに躊躇するかも。
敷地が広いことだし、入り口にメニュー表も置いておいてくれると、安心して入店できるのですけどね。
暖簾を潜り店内に入ると、中にあるのは元一般民家にしては広々とした玄関。
靴を剥いで上がります。
すると、花番さんが、すぐに気づいて案内してくれました。
花番さん3人くらいで接客していましたが、忙しそうにしながらも皆さん応対が丁寧で、これはかなりの好印象。
棚の上には、写真家の立木義浩のサインと、甚五郎さんの紹介記事が掲載された雑誌が飾ってありました。
へぇ、立木義浩って、蕎麦好きだったんだ。
年配の白髪の芸術家が蕎麦を食ってると、絵になりますわな。
玄関から上がって左手を見ると、日当たりの良い広い縁側がありました。
自宅にしていた頃は、ここから庭が眺められたのでしょう。なかなか贅沢な間取りだったようです。今は、駐車場しか見えませんけどね。
昼時は混雑するのでしょう。ここにもテーブル席が一つ。
縁側から襖の内側の部屋に入ると、床の間のある元畳敷の間を改装したスペースに、テーブル席が並んでいます。
入店したときには、このスペースは既に先客で満席。
写真は帰りがけの、お客が捌けたときに撮ったものです。
さらに奥の部屋にもテーブル席が並んでいて、そこの空き席に案内してもらいました。
狭苦しくもない適度な間隔の席の配置で、周りもガヤガヤとうるさくもなく、落ち着きの良い空間となっていました。
すでに結構な人気店になっているようですが、早めに入店するなどして、ランチのピーク時間を外せば、席数も少なくはないので、並ばずに席につけそうな気配です。
🌀メニューと料理
メニューを見ると、冷たいそばが二八と十割の二種類。
それに二八の温かいそばと、ご飯ものが満遍なく揃っています。
価格設定としては、安いとは言えず、高すぎもせず、やや高めといったところ。
店の外観から想像できる通り、値段より蕎麦の味や店の雰囲気を重視しているお店でしょう。
昨今の物価高も考えると理解すべきラインだと思いますし、あとは、我が国の賃金水準の上昇を願うばかり。
そうは言っても、丼とそばのセットメニューなどは、リーズナブルな価格設定となっていて、我々一般国民のランチ事情も考慮してくれています。
メニュー表をめくっていくと、蕎麦屋なのに、浜名湖産鰻の鰻重なんてメニューもありました。
今どき、国産鰻で3,500円なら、お得感があります。
専門店以外で鰻を食べても、フニャフニャだったり、ゴワゴワして甘ったるいだけの旨みの薄い蒲焼きだったりすることが多いのですが、この写真を見る限り、本格的な焼き上げ加減のようで実に美味そう。いつか、本当に写真通りの鰻重が出てくるか確認に来ねばなりませんね。
この田舎十割そばの写真も、幅広で太打ち田舎蕎麦ながら、蕎麦の色や星の散った様を見ると、十二分に食欲を唆られます。
値段は1,000円オーバーと安くはありませんが、旧店舗で食べた蕎麦より確実にグレードアップしていそう。
その十割蕎麦と天ぷらがセットになった「十割天せいろ」もあるんですね。
ほう、これが “当店一番人気”ですか。
値段は2,000円オーバーですから、やっぱり安くはありませんが、天ぷらが海老2本の豪華版ですから妥当ではあるかな。
蕎麦粉は北海道の音威子府産。
蕎麦粉の名産地ですね。
わざわざ産地を明示しているからには、きっと信頼できる製粉業者と取引きしているのでしょう。
味に期待せざるを得ません。
(※訪問後、価格改定があった模様。最新版ではありません)
そんなわけで、注文したのは「十割天せいろ」(2,100円)
蕎麦つゆの他に、天ぷら用のつゆと塩が添えられています。
ランチとしては贅沢なものですが、蕎麦と天麩羅って、王道的に相性が良いですよね。我が家では、特に初訪問の店で選択しがちなメニューです。
蕎麦を見ると、メニュー写真通りの幅広・太打ちの田舎蕎麦。
普通盛りでも私には十分なボリュームです。
濃いめの色の蕎麦に星が散り、見ただけで美味いであろうことが想像できるナイスなビジュアル。
十割蕎麦にしては、よく繋がっていて、適度なコシがあります。
食べて見ると、想像したよりゴワゴワしたところはなく、表面はツルツルと滑らかで喉越しも良好。
ツルツルっと流し込んで喉越しを楽しむこともできそうですが、せっかくの太打ち田舎蕎麦ですから、私はガシガシ噛んで、蕎麦の風味を感じながら食べる方が好きかも。
蕎麦つゆは、江戸前のつゆほど辛くもなく、中庸な味。
あまり格好つけずに、汁にヒタヒタに浸してから、ガシガシっと噛んで味わいました。
ワサビもピリッと辛くて、こんな風に蕎麦に載せて食べると、あぁ美味い美味い。
期待通りの蕎麦の味わいで、満足いたしました。
天麩羅は、海老が2本に野菜が二種。
旧店舗のときから天ぷらは手慣れた出来栄えでしたが、衣の厚さも適度なもので、蕎麦屋の天麩羅としては、十二分に上等な揚がりっぷりでしょう。
この海老天なんか、サイズも立派で味も上々。
嬉しくなっちゃいます。
この天麩羅なら、きっと天丼にしても美味いだろうなぁ。
蕎麦湯は、釜湯に蕎麦粉を溶いたトロトロでクリーミーなもの。
蕎麦湯にも各人、好みはあるでしょうが、客の期待の中央値を裏切ることがありませんね。素晴らしい(喜)
ご馳走様、満足いたしました。
聞くところによると、新店主は日本料理店だけでなく、パティシエとしての経験も積んできたそうで、プリンやくずきりなどの甘味も人気だとか。次は頼んでみよう。
それに花番さんたちの応対も丁寧で(これ本当に大事!!)気持ちが良い。
新店主は、そう年配な方ではないはずなので、これからも長く店を続けてくれることでしょう。
良い蕎麦屋ができてくれました。
【蕎麦処 甚五郎】
■所在地 東京都小平市鈴木町2-156-3
■営業時間 11:00~20:30(LO20:00)
■定休日 水曜日
■最寄駅 西武新宿線 花小金井駅
■駐車場. あり(4台分)