遠出することもなくグダグタと過ごしてしまったゴールデンウィークも、とうに終わった5月の中旬。
ふと、今年はまだ春の山菜を食べていないことに気づきました。
旬の味覚を、このまま食べ損なうのは何とも侘しい。
そう言えば青梅市内に、山菜の天ぷらを出す蕎麦屋があったなぁと思い出し、週末に伺ってみました。
青梅市新町にあるそば処『和楽』さんです。
久しぶりの再訪問になります。
🌀アクセス
そば処『和樂』さんの所在地は、青梅市新町8丁目。
車で行くなら、角にステーキのフォルクスとサンドラッグがある青梅街道の青梅新町交差点が目印。そこを南方向に曲がって1ブロック先の左手にあります。
駐車場は、残念ながら店の横に1台分のスペースがあるのみ。
最寄駅であるJR青梅線の小作駅からは歩いて25分かかる距離なので、ここの駐車スペースが空いていないと、どうしても他の店に行ってしまいがちになる立地です。
このあたりが、車移動がメインの我が家では、再訪頻度が減ってしまう理由となっています。
🌀外観と店内の様子
お店の外観は、木造二階建ての一軒家。
外壁に大きく「そば処 和樂」と書かれているので分かりやすい。
店の前まで来ると、店頭に「天然山菜 たらの芽 こしあぶら 入荷」と書かれたボードが置かれていました(喜)
時期的に少し遅いかもと心配していましたが、期待通り入荷しているようで嬉しい!
店内に入ると、おそらくご夫婦と思われる2人が迎えてくれました。
ご亭主が厨房担当で、奥様がフロア担当。
「いらっしゃいませ」と、ハキハキとした声掛けをしてくれていて、こちらもとても気分が良い。
席は、手前に6人用のテーブルが一つ。
奥の小上がりには、4人用の座卓席が4つ。
蕎麦屋らしく、和風で清潔感のある店内です。
先客はテーブル席に1グループ、後客が座卓席に1グループ。
店の大きさや態勢からすると、ごみごみもせず、ゆったりと静かに過ごせる、居心地の良い空間となっています。
🌀メニューと料理
壁を見ると、『山菜天盛 800円』の掲示。
店の方に「どのくらいの量ですか?」と伺うと、
「一人で食べる方もいるし、2人でシェアする方もいます」とのこと。
山菜の天ぷらを食べることが今回の目的ですから、一人でも食べ切れる量であると分かったので、同行の妻殿と一つずつ注文することにしました。
メニューを見ながら考えると、山菜天ぷらに合わせるなら、「冷たいせいろ」でしょうね。
300円プラスして、大盛りにしてもらいました。
蕎麦の品数は、それほど多くはありません。
冷温、それぞれ天婦羅と、とろろ(山かけ)があれば、大抵は満足ですから問題ありません。
蕎麦前の一品料理と、焼酎、ビール、日本酒のメニューも揃っていますが、車で来ていますからね….。
さて、待つこと暫し。香ばしい香りが漂ってきて、まず運ばれてきたのが
『山菜の天ぷら』(800円)
内容は、左からコシアブラ、タラの芽、コゴミです。
確かに、2人でシェアしても不満はないし、山菜好きなら一人でも楽に食べ切れる量です。
まずは山菜の王様「タラの芽」。
天然ものですから、ハウスで促成栽培したものと違って、大きくて歯応えもあり味も強い。
塩でいただくと、うん、素晴らしい味です。
続いて、今は山菜の女王と呼ばれているらしい「コシアブラ」。
タラの芽と同じく、ウコギ科の樹木の新芽の部分です。
元々は絞った樹液を油として利用していた木です。
30年くらい前までは、あまり好んで食べる人も多くなかったのですが、山菜ブームで山のタラの木が採られすぎて激減してしまい、代わりに女王として昇格してきた印象がある山菜です。
油で揚げると、葉にサクサクとした食感があり、タラの芽には及ばないまでも、同じウコギ科の木の芽らしく、独特の旨味があって私は大好きな山菜です。
最後は、クルクルっと丸まった「コゴミ」。
これも独特の風味のある春の味覚。ワラビのようなアク抜きが不要で、天ぷらやお浸しにすると美味しいです。
いづれも薄めの衣で揚げられていたので、食感も良く食べやすい。
満足いたしました。
この天然物の山菜天ぷらが800円なら、都内ではお買い得価格でしょう。
せいろそばが運ばれてくる前に、奥多摩の蕎麦屋らしく、根わさびと鮫皮おろしが登場。
待っている間の時間潰しに、山葵を刷っていてくれとの趣向です。
擦るのは面倒ですが(笑)、アトラクション的な面白味と、擦りたて本わさびで蕎麦を食える高級感があります。
擦り擦りやっているうちに、「せいろ 大盛」(900円+300円}が配膳されました。
大盛にしたこともあり、手打ち蕎麦としてはたっぷりとしたボリューム。
細打ちの整った蕎麦です。
石臼挽きの自家製粉とのことで、ホシの散った蕎麦は実に美味しそう。
汁の方は、もう少し鰹出汁が強くて辛めのものが私は好みなのですが、これはあくまで好みの問題。
食べてみると、香りは期待したほどではないのですが、蕎麦の味は上々。
味の弱い蕎麦を大盛りにして食べると、汁をつけても薄っぺらい味が誤魔化せなくなって、途中で口が飽きてしまうのですが、ここの蕎麦は最後まで美味しく食べ進めることができました。
おろしたての山葵を載せて食べると、鮮烈な辛味が加わって、また良し。
あのぐらいの根わさびの大きさでは、それほどの量は擦れませんが、フレッシュで贅沢な味になります。
蕎麦湯は、薄味の釜湯。
ごちそうさまでした。
ここの蕎麦は、もう少し評価が高くても良い味だと思いますが、蕎麦の好みや味覚は人それぞれですからね。
私的には、駐車場も一台分しかないことですし、妙に人気が出て混雑した店になるより、今のまま、気持ちの良い挨拶をしてくれて、まったりとした雰囲気で食事のできる店でいて欲しいと思っています。
同じ程度に味が良く、客が多く付いていても、天狗になって客あしらいがぞんざいになる店員のいるような店には、二度と行く気になりませんから。
青梅市近傍の蕎麦屋と言えば、この数年ですぐ近くにあった「叶庵 克」に東青梅の「雲水」、裏宿の「榎戸」や軍畑駅近くの「いけだ」などの人気店が、いつの間にやら閉店してしまったようです。
これはコロナ騒ぎのせいなのか、或いは物価高や人手不足が原因なのか、そもそも個人営業店が経営を長く続けることが難しいからなのかは、私には分かりかねるのですが、寂しい限りです。
春には是非また食べに来たいので、こういう天然物の山菜の味を理解してくれている蕎麦屋さんには、いつまでも営業を続けていてほしいと切に願うところなのです。
【そば処 和樂】
■所在地 青梅市新町8-20-9
■営業時間 11:00 – 15:00 17:00 – 20:30
■定休日 水曜日
■最寄駅 JR青梅線小作駅 下車徒歩25分
■駐車場 あり(一台)