新潟県村上市から、県境を跨いで山形県鶴岡市の温海温泉あたりにかけての国道7号線は、日本海をすぐ横目に見ながら走れる気分爽快なドライブルート。
地元では、この沿道を「日本海パークライン」などと呼んでいますが、知名度としては今一つ。
途中の観光スボットとしては、遊覧船で奇巌をめぐる笹川流れがあるものの、他にパッと施設もなく、
あとは小さな海水浴場や漁港が点在するなか、ひたすら綺麗な海を見ながら走り続ける道となっています。
一桁国道である割には交通量が少なく、どこか鄙びた雰囲気があるので、寛いだ気分で走ることができます。
この南北50kmあまりの区間には、道の駅が二つあるのですが、途中で車を停め、海を見ながら休憩できるカフェのような店はほとんどありません。
山が迫った海沿いに、幅の狭い平地が続くばかりの地形なので、そんな商売が成り立つほどの人口密度がないのでしょう。
景色のよい場所は沢山あるのですけどね。
そんな中、鶴岡市の堅苔沢(かたのりざわ)の国道沿いに、日本海を正面に眺めることのできる喫茶店がオープンしていたので行ってみました。
“ファーストペンギン”とは、集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ、魚を求めて最初に飛び込む勇気あるペンギンのこと。
なんか、カッコいいぞ!
🌀アクセス
堅苔沢は、南の温海温泉と、この日宿泊する湯野浜温泉のちょうど中間あたりにある、漁港と小さな砂浜がある集落です。
以前は南の高台に雷屋という大きなホテルがあったのですが、既に廃業して建物もなく、今は只々静かな海沿いの漁村。
お店の駐車場は、漁港の入口にあるバス亭の周り、空き地のようなところら辺一帯。
ファーストペンギンのシールが貼られたカラーコーンが置いてあるので、場所はここで間違いなし。
5台分くらいのスペースはあるかな?
最寄駅はとしては、隣の小波渡漁港の前にJR羽越線の小波渡駅。
そこから歩くと約25分程かかります。
喫茶店と海のほかには何もない小さな集落ですから、一般的には車での利用がメインとなる立地でしょう。そんな土地を、わざわざ列車本数の少ないローカル線で回る旅も、それはそれで楽しそうではありますが(笑)
さて車を停め、すぐ目の前の、赤いベンチが一つだけボツんと置かれた小さな砂浜を眺めて・・・
・・・国道を横切れば、目指す喫茶店はすぐそこ。
そう、このパッと車を停めて、すっと店に向かえる手近な距離感がとても良いんですよね。
道の駅なんかの大型施設だと、広くて混み合った駐車場で空きスペースを探し、そこから人混みを避けながら歩いて施設に入る….と考えるだけで、もう半分億劫になりますから。
いやしかし、この静かな砂浜を眺めただけで、何かもう心が癒されてきましたよ(喜)
🌀外観と店内の様子
堅苔沢は漁師町ですから、その中の民家の一軒をリノベしてお店にしたような外観。
白いペンキで塗られた外壁には清潔感があります。
二階に大きなガラス窓をとり、ガレージの上にテラス席があるのかな?と思わせる店構えが特徴的ですが、目立つ看板も付けられていないので、事前に知っていなければ、まず気がつかずに通り過ぎてしまうでょう。
一階のガラス窓の表示を見ると、週末を中心とした昼のみ営業のようです。
しかし、「OPEN」と書かれた札は掛かっているけど、入り口が何処なんだか?
ガラス戸を開けて中に入ると、一階には人気がなく、ブライベートな寛ぎスペースのような部屋があるだけ??
周りをキョロキョロと見回すと、階段があったので靴を脱いで上に上がります。
すると、中二階のようなスペースに厨房があって・・・
さらに階段を登ると、二階部分が喫茶フロアとなっていました。
確かに、窓からの見晴らしを考えたら、喫茶スペースは2階にあった方が、海がよく見えていいですね。
迎えてくれたのは、ハキハキと受け答えの声に元気のあるワンオペのお姐さん。
ははぁ、この方がこんな小さな町にカフェをオープンさせた「ファーストペンギン」さんですね。
店内には、不揃いなテーブル席が二つ三つに、窓側のカウンターが4席、それに階段を上がった先のロフト席が一つ。
壁にはタペストリーと恐らく自作の流木アートが掛けらていて、シンプルでロハスな内装。
多分、他に客なんていないだろうと思って店に入りましたが、なんと先客が二組もいました(驚)
あともう少し北に走った先、最寄りの大きな街である鶴岡の駅前からだと車で30分弱くらいの距離のようですから、そう考えるとそれほど僻地って訳でもないですね。
大変、御見逸れいたしました。
幸い、窓際のカウンター席が二つ空いていたので、そこに座ることができました。
ゆったりソファー席に座るのも良いですが、なんと言ってもこの店で珠玉なのは、
カウンター席の窓から見渡すこの日本海の景観!
正面から右手にかけては小さな砂浜。
海が近いんですよね。
左手には漁港が見えます。
地元にお住まいの方にとっては、なんてこともない日常の景色かもしれませんが、のんびりとしていてぼ〜と見ているだけで心癒されます。素晴らしい!!
🌀メニューと料理
メニューを見ると、冷たい飲み物と温かい飲み物、それにスコーンとケーキとコーヒーゼリー。
軽食類は、今はお休みしているようです。
暑い日だったので、私が注文したのは「コーヒーゼリー(アイスクリーム付き)」。
“映える”でしょ?
一緒にアイスコーヒーも注文したのですが、アイスにアイスを重ねると、口の中が冷た過ぎました(笑)
コーヒーはホットにしておけば良かったな。
妻殿が選んだのは、「アイスココア(アイスクリーム付き)」
写真だけ見ると、鎌倉とか湘南の海岸あたりのカフェにいるようですよね。
でも、あちらの道はいつも車が大渋滞していて人も多いし、ちょっとオシャレすぎるので、私なんぞはこんなに寛いだ気分になりきれないのです。
外を眺めていると、地元の子供たちなのか、帰省してきた家の親戚の子供たちなのか、砂浜で遊んでいる様子が見えます。
楽しそうだなぁ。
こう言う思い出って、絶対、大人になっても覚えいるよね。
とっても寛げる、素敵な喫茶店でした。
この後、もう少し海沿いを走って湯野浜温泉へ向かいました。
このルート上には新潟県側にも2軒、気になる海沿いのカフェがあります。
次回はそれらにも寄ってみたいのですが、何せ遠いのでいつになることやら。
【カフェ ファーストベンギン】
■所在地 山形県鶴岡市堅苔沢宮田620−7
■営業時間 11:00-17:00
■定休日 火・水・木曜日
■最寄駅 JR羽越本線 小波渡駅 下車徒歩25分
■駐車場 あり