東京都下「多摩エリア」を中心に「グルメ」「ドライブ」「旅行」「日々のあれこれ」

『地焼うなぎ ひらさわ』@厚木市〜関西風の蒸さない鰻重

我が家の○十回目の記念日を祝うため、神奈川県伊勢原市鶴巻温泉温泉へとドライブ旅行に向かいました。
記念日の旅行にしては、中途半端に近い場所ですけれど、冬のこんな時期ですから、山の方まで行くと雪が心配ですし、かと言って飛行機で南国までひとっ飛びするほどの元気が今年は沸かなかったのです。
交通費はあまりかからないので、そのぶん、宿泊費に全振りして高級旅館を予約してはあります。

そんなドライブの道すがら、帰りがけのランチに立ち寄ったのが、
厚木市内にある、地焼うなぎ『ひらさわ』さん。

都下では、あまり見かけない、関西風に蒸さずに鰻を焼き上げる、謂わゆる地焼き鰻のお店。
地焼うなぎは、八坂の草門去来荘で食べて以来なので、こちらはどんなお味だろうかと、楽しみにしつつの訪問です。


🌀アクセス

「ひらさわ」さんの所在地は、神奈川県厚木市小野

最寄駅は、小田急小田原線愛甲石田駅ですが、そこから歩くと3.6kmもあって徒歩圏外。
駅前からバスはあるので、13分乗って小野橋で下車すると、そこからは歩いて5分。

駐車場は、店の横に20台分ほどの広いスペースあり。

これだけのスペースがあっても、休日のランチどきには混み合うそうですが、まぁ車で行くのが妥当な立地にあります。


🌀外観と店内の様子

店は玉川という、そう大きくない川に沿った、市街地からは遠い鄙びた郊外の一角にありますが、お店の外観は二階建ての想像以上に立派な日本家屋。

聞くと、元は日本料理店で、横浜市の青葉区内に新たに日本料理専門店をオープンさせたので、こちらは鰻料理の専門店にしたとか。
周辺の丘陵地は、大規模開発で住宅団地になったところも多いので、そこからの会食等の需要があるのでしょう。

人気店だと聞いてはいたので、11:30の開店時間にあわせて到着したのですが、既に駐車場には数台の車が停まっていました。

この日は、心配していた通りの寒く雪混じりの天候。
これならきっと客足は鈍かろうと、予約もせずに伺ったのですが、既にかなりの予約が入っている模様。席が用意できるか確認をとるため、暫し待たされることになりましたが・・・

・・・幸い、すぐに座り心地のよいカウンター席に案内してもらえました(喜)

この雪空でもそれだけ人気なのですから、これは例え当日であっても、事前に電話予約してから来店したほうが無難のようです。

店内には、カウンター席の他に、畳の間にテーブルを置いた広間があり、また、2階には個室もある模様。

もと日本料理店だっただけあって、清潔感と、気後れしない程度の高級感のある店内です。

ちょっと奮発する、休日ランチにはピッタリの雰囲気ではないでしょうか。


🌀メニューと料理

メニューを見ると、うな重が福・禄・寿の三種類に、かば焼き膳が楽・豊・祥の同じく三種類。

どちらも、一番高い寿と祥は、白焼き蒲焼きのあい盛りとなっています。
この店では、どちらか言うと白焼きの方が人気があるようで、白焼きだけのお重もメニューもあり。扱いの大きさを見ると、店の一押しメニューは、このしらやき重なのかもしれません。

今回は初訪問のお店ですし、折角ですから、少々高いとは思いながらも、蒲焼きと白焼きの両方を楽しめる
うな重「寿」(7,500円税抜)を注文してみました。

暫くすると奥の調理場から伝わってくる、タレの焦げた良い香りを嗅ぎながら、待つこと20分ほどで配膳。

蓋を開けると、お重の上には地焼きだけあって、身の表面ががカリッとして、しっかり感のある、そして肉厚の二色の鰻が、重なるようにゴロゴッと贅沢に載っています(喜)

鰻は勿論国産、ふっくら肉厚の鰻として定評のある、愛知県豊橋産とのことですから、鰻そのものが上質なブランドもの。

香の物汁物付きで、元日本料理店の名残りからか、汁物は肝吸いではなく、豆腐の置き方が特徴的なお味噌汁。
白焼き用に、粗めにすられた大根おろし醤油ワサビが添えられています。

あい盛りの鰻重は、他店でも割高になりがちとは言え、それにしてもお高いかなと思っていましたが、この鰻のボリュームなら適正価格かなと。

食べてみると、肉厚の鰻ながら小骨を全く感じません。これは捌き方が良いのと、炭火の強火で小骨をしっかり焼ききっているからなのでしょう。
焦げっぽさまではありませんが、しっかり目の焼き色が付いており、また、蒸していないためか、皮に弾力が残っています。

店の方の説明によると、昔、ここの土地の水路や田んぼで獲れた鰻を、おじいさんが捌き、すぐに焼いて食べさせてくれた蒲焼きの、野趣に富んだ味を再現したかったのだそうで、意識してやや焦げがつくくらい強めに焼いているそうです。
昔は目の前の玉川あたりでも、きっと鰻が獲れたのでしょう。この土地のもつ雰囲気に相応しい焼き具合となっていて、ストーリー性を感じます。

また、炊いたご飯にも、こだわりと自信を持っているようで、使っているのは山形県産の「夢ごこち」というブランド米。

コシヒカリの品種改良版で、食味に優れるものの、栽培にやや手間のかかるお米のようです。ツヤツヤと透き通るように真っ白で、もちっとした食感のあるご飯した。

やや柔らかめなご飯の炊き加減は、
「うちは料理屋であって仕出し弁当屋じゃねぇんだから、硬いメシなんか炊いてられるかぁ!」
との、元日本料理店としての矜持でしょうか?

ご飯への強いこだわりから、タレは敢えて掛けられていません。お好みで片口のタレを使って下さいとのこと。

まぁ、私は鰻重には、タレのかかったご飯の方が好きなので、一口味を確認した後は、何か申し訳なく思いながら、食べる直前にやっぱりタレを回し掛けてしまうのですが。

タレは、アッサリ味と言うか、まだ若い味と言うか。
どちらにせよ、お店としては鰻とご飯、そのものの味を、濃い味のタレに邪魔されたくないと考えているのでしょう。

柚子山椒は、京都産の実山椒を毎朝、挽いているとの説明があった色鮮やかなもの。

辛みの穏やかな、フレッシュな香りの山椒でした。

地焼の鰻って、関西の人には当たり前の味なのでしょうが、関東人には脂が強すぎると感じがち。
鰻の質や脂の量によっても味わいが異なるので、どちらが旨いとか、上とか下とかはないのですけどね。

ここの鰻は、上質な国産鰻を、強火の炭火でしっかり焼いているので  (いや、焼いているところが見えないので想像ですが)、地焼きの鰻にしては、さっぱりとして、変にくどくない味に仕上がっていると思います。表面がサクッとしていながら、中は柔らか、鰻そのものの風味の強い美味しい地焼き鰻でした。

関西に行って、硬いだけだったり、脂が残りすぎて胸が焼ける鰻を、うっかり食べてガッカリしてしまった関東人にも、地焼うなぎの名誉回復のために、ここの鰻を試してもらいたいかな。

ごちそうさまでした。満足です。

でもやっぱり、この相盛りの寿を食べ切ると、そのボリュームと脂とで、かなりの満腹となりました。(晩飯は、お茶漬けだけで済むくらい)
ランチなら、私は一番小さな福の鰻重でも十分満足かもしれません。
二人で行くなら、一人が白焼き重を、もう一人が鰻重の福でも注文して分け合うと、小振りな相盛りが2つできあがりますね。
そうすると価格的にも、かなりリーズナブルになってきます(笑)


厚木市西方のこのエリアは、七沢温泉などがある小温泉郷となっていますし、隣の伊勢原には鶴巻温泉もあります。
あまり来たことのないエリアでしたが、宮ヶ瀬湖から南下する県道64号は、山道ながら信号が少なく、走りやすいドライブルートで、多摩エリアからも十分日帰り圏内。
温泉入浴や宮ヶ瀬湖観光とともに、ここの地焼き鰻の昼食を組み合わせると、良いドライブコースになろうかと思います。
お勧め。

(宮ヶ瀬ダムのインクライン。たわいもない乗り物だけど、楽しかった。)


【地焼うなぎ ひらさわ】
■所在地    神奈川県厚木市小野2308
■営業時間   [月~金]11:30~15:00 17:00~21:00  [土日祝]11:30~21:00
■定休日    月曜日 第2・4火曜日
■最寄駅    小田急小田原線 愛甲石田駅 下車後バス
■駐車場    あり



 

 

最新情報をチェックしよう!