干支でいうと今年は巳年。
巳年の蛇は昔から財運向上の神様ですから、そのご利益にあずからせて頂こうと、蛇神さま巡りのドライブに出かけました。
まず向かったのは、栃木県佐野市の北方に湧く出流原(いずるはら)弁天池と・・・
出流原弁天池は、地下の石灰岩層の割れ目から溢れ出す、ミネラル豊富な湧水によって形つくられた池で、その透明度は驚くほど。
日本百名水にも選出されている名水です。
透明な水の中を鯉が泳ぐさまは、岐阜県や高知県で観光スポットとなっているモネの池にも負けず劣らずの美しさ….のはず。まだ、そちらには行ったことがないので知らないのですけど、たぶん。
・・・これだけの湧水があれば、やはり弁天様がお祀りされておられます。水と財運と芸能の神様。
傍の風穴からは、冷たい空気が吹きだしてきているはずですが?。暑い夏の方がわかるのかもしれません。
弁天様のお使いは、こちらも財運を司る白蛇様ですね。ありがたや、ありがたや。
登り口から階段を上がっていくと、朱塗りの本殿にたどり着きました。
もちろん、お賽銭をじゃらじゃらと奉納。
崖錐造りの本殿からから見渡す長閑な景色は絶景。
中央に見える大きな池は、出流原の湧水を引き入れたマス釣り池。釣った鱒は、炭火焼にしてくれるそうで、ここいらの行楽スポットとなっています。
よし、これくらいお参りすれば、今年の我が家の財運は向上間違いないでしょう!
さて佐野市あたりなら、高速道路を使えば十分日帰り圏内なのですが、ネットで良さげな旅館を見つけたので泊まって行くことにしました。
出流原弁天池から、道を挟んですぐ向かい側にある割烹旅館 『公園荘』さん。
駐車場は正面入り口の前に5台分。奥の建物の一階部分にも数台分のスペースがありました。
最寄りの東関東自動車道 出流原インターで高速を降りれば、3分くらいで着いてしまう位置。
すぐ隣の旅館、一乃館と、斜め奥の福寿荘の3軒で赤見温泉とも呼ばれているようですが、法律上の区分では温泉ではなく、正確には出流原の湧水を沸かした名水風呂。3軒とも、それほど大きな旅館ではなく、夜ともなれば周囲は人通りも少なく、ただただ静かな一角。世の雑音から離れ、一日のんびりと過ごすには良いところです。
ロビー周りは昭和の趣味に溢れる田舎町の温泉旅館といった雰囲気。
バブル期に浮かれた銀行の誘いに乗って、大型旅館に建て替えたりしなかったから生き残った、賢明で堅実な家族経営の旅館なのかな。いや、知らないのですけど、そんなイメージ。
外から正面ロビーのある本館だけを見ると、本当に小さな普通の旅館に見えます。しかし館内に進むと中の敷地は意外に広く、なんと客室は全室離れの宿だと言うのだから驚き。
チェックインを済ませたら、一旦外に出て、鯉の泳ぐ池の間の通路を歩いて部屋まで進みます。
このお庭なんて、実に素晴らしいじゃないですか。
長野県の「別所温泉 旅館 花屋」さんの渡り廊下に似ていて素敵です。あちらの方が高級感は上ですけどね。こんな風情のある離れの客室に一泊2食付きで泊まって、今どきこれが20,000円をギリ下回る値段。安い!嬉し〜い!
案内してもらった部屋は、本館からも大浴場からも近い「くじゃくの間」。
外の池に鯉はたくさん泳いでいたけど、この愛嬌のある鯉のぬいぐるみのようなものは.何?….枕?
2人で過ごすにはゆとりのある室内。ホテルならスイートルームですね、日本旅館、最高!
出流原弁天湧水の美味しい冷水がボットに用意されていて、ご利益もありそう。これは良いサービス。
なんとその庭の池に、鯉まで泳いでいます!
一泊2食付きで、1人20,000円以下の宿の庭にしては豪華すぎ!!
それではと、フロントで鯉の餌を買ってきました。
自室の縁側から鯉の餌やりなんて、お金持ちになったようで優雅(笑)
餌はたくさんあるので、外の池の鯉にも餌をあげてきました。なんか楽しいぞ(笑)
こっちの池の鯉の方が、数も多くて食いつきも良いですね。元気にバシャバシャ跳ねてます。
無邪気に楽しめる時間って良いものです。priceless(笑)
旅館内で池の鯉に餌をやって遊んでいると、「笛吹川温泉 坐忘」さんの池を思い出します。あちらの方が高級旅館ですけどね。しつこいですけど、こんな宿が一泊2食付きで1人20,000円!
夕食の前に大浴場へ。
内湯と露天風呂がありました。
こちらは温泉ではなく、石灰岩層を通り抜けてきた豊富な湧き水を沸かしたお湯。
ミネラル豊富な硬水で浸かっていると気持ちは良いのですが、硫黄などの温泉成分は含まれていません。ですから風呂上がりにいつまでもポカポカ体が暖かいとか、リュウマチが治りそうとかは(たぶん)ありません。風呂から上がったら、冬は湯冷めしないように暖かくしていてください。飲む分には、文句なく美味しい水ですけどね。
そうそう、2度ほど入りましたが、運良く貸し切り状態で気持ちよく過ごせました。
夕食は、大きなテーブルでの部屋食となります。
まず前菜。
季節の食材が並んで、これは期待以上の内容(喜)
柿の白和え、焼き栗、牛蒡の牛肉巻き、白子ぼん酢仕立てなど。
白和えの器代わりの柿は、後で食べやすいように皮を剥いて切って持ってきてくれました。
こんな美味しそうな前菜を見せられたら、地酒を注文せざるを得ないですね。
続いて出ました! 名水で育った虹鱒の塩焼き。
例えこれがメイン料理であったとしても、私は十分納得(喜)
明日、隣の釣り堀で鱒の塩焼きを食べていくかどうするか、時間的に迷っていたけれど、これでもう満足です(笑)
次はお造り。
海なし県のお造りにしてはまぁまぁか、などと思っていたら・・・
・・・右の氷の下に隠れていたのは、鯉のあらい。
これもまた名水の恵み! 綺麗な湧水で育てられた鯉は、やっばり臭みがなくて美味いねぇ!
次に運ばれてきたのは、季節の一品としてなんと松茸の土瓶蒸し。
今回、じゃらんから予約をいれたのですが、松茸なんてどこにも書いてなかったぞ。
松茸を付けるなら、もっと宣伝しても良いんじゃない。季節的に限られるし、入荷がない時もあるから約束できないってことかな?何にしても、今シーズン初松茸にありつけてラッキー!
湯葉は、弁天池のそばに出流原の名水をつかった丁庵という豆腐工場があるので、そこの湯葉でしょう。これも名水の恵み。
前菜から魚料理、肉料理と揃っているので、西洋料理ならフルコースですね。日本旅館、最高!
美味しいかった。
締めのご飯は、青竹打ち佐野ラーメン仕立てのうどんとかやくご飯。
佐野と言えば、青竹打ちのラーメンですが、和懐石ですからうどんに仕立てたのはアイデアかな。
苦しかったけど、なかなかの逸品だったので頑張って完食しました。
翌日の朝食は、レストランで。
椅子席と小上がり席がありますが、テーブル席に案内されました。
こんなコテコテっとした昭和中期的にゴージャスな内装には、もはや懐かしさを感じます。バブル期とも異なる、昭和ゴージャス様式とか、昭和コテコテ様式とか、誰か名付けてインテリアの一様式として確立してくれないかな?
周囲を見渡すと、壁際に池があって線路は通ってるし、なぜか向こうに信号機まであるぞ?
すると、ミニSLがお味噌汁を持ってきてくれました。これは子供は喜ぶでしょう!
よほどの趣味人か、サービス精神に溢れた方が経営陣にいらっしゃるのでしょう。
料理の方は、品数豊富に小皿が並んだ健康的なもの。朝からメロンとシャインマスカットのデザートも付いて、プチリッチさを感じます。
最後は小瓶に餌があったから、金魚に餌やり。
おお、寄ってくる寄ってくる(喜)
外の池の鯉にしてもそうですけど、豊富な湧水に恵まれているからできる遊び心ですね。
水・風呂・食材と、出流原湧水のほとりならではの恩恵に預かりました。
有名観光地ではなくても、良い宿ってあるもんですね。
一点、注意事項としては、お会計はネット予約時の事前決済以外は、全て現金決済となっています。
時代の流れに逆らっているようですが、この宿泊代を考えれば、カード会社に手数料なんて払ってられないでしょうから全然OK。インバウンドなんていう浮かれた収入を当てにすることなく、良いサービスを続けていってほしいものです。
【割烹旅館 公園荘】
■所在地 栃木県佐野市出流原町1120―2
■最寄駅 両毛線佐野駅下車 タクシー15分
■駐車場 有り
■ネット予約 「じゃらん」公園荘