9月の連休前の平日、群馬県渋川市の利根川河畔にある季節営業の鮎料理店、『落合簗』にやってきました。
簗は大体、6月から9月の秋分の日くらいまで営業していますが、6月にはまだ小降りで頭から丸ごと齧りつける若鮎、7〜8月には大ぶりな成魚となった鮎、そして9月のシーズン終盤には卵を抱え「落ち鮎」と呼ばれるようになった子持ち鮎を食べることができます。
7月には、もっと上流にある綾戸簗でも若鮎を食べてきましたが、
「子持ち鮎の塩焼きも食べたい」との妻殿のリクエストに応じて、今度は渋川駅からより近いこちら落合簗に来てみました。
多摩エリアから関越道に乗って渋川伊香保インターで降り、約2時間。
国道17号から下郷交差点を左折して大正橋を渡った後、看板に従って右折し小道に入った先に駐車場があります。
平日なら混んでないだろうと思っていたけど、到着してみると車がいっぱい。でも、駐車場は広いので、奥の方まで進んでいくと空きスペースはありました。

実に美味しそう!
この絵面を見ているだけで、もうなんだか幸せな気分になってきます(喜)
もう空いているだろうと、平日の13時前に到着したのですが、なんと店内は満席の活況。

シーズンも終盤だし、みなさん名残の落ち鮎狙いできているのでしょうか。商売繁盛で何より。
それでも3分くらい待つだけで案内してくれました。
以前来た時には、このテーブル席のスペースはなかったような?
増築したのかな。

利根川の向こうに榛名山の山並みが見渡せて、この川側のテーブル席は、この店一番の特等席じゃないかな。
上流側には、さっき渡ってきた大正橋と、JR上越線の列車、渋川の街のビルなんかが見えます。
数年前の台風で流されてしまった簗が多いようですが、ここの簗はまだ残っていますね。
利根川も天然鮎は激減してしまって、お店で食べる鮎は、今では養殖物が主流。
ここの簗も、実質的には飾りのようなものですが。
客層をみると、爺婆の夫婦連れが大半。
この鮎の味と風情と季節感がもつ有り難みは、若年層には理解できないのかもしれません。
かく云う自分も、いつの間にやら、立派に爺婆と認定される姿形となりました(泣)
メニューを見ると、鮎の塩焼きや田楽、フライに鮎こくなどがセットになったコースや定食が5種類に、単品料理が並びます。
でも我々は夫婦ともに、なんと言っても食べたいのは塩焼きと刺身なので、一品料理からチョイスします。
肝心の子持ち鮎があるやなしやが一番気になるところですが、数量限定ながらブラス220円で注文できる模様。
よかった。

どうにも気になって注文してみましたが、これが塩焼きとよく合う美味しいさで大正解。
天然の川魚だと食当たりが心配になるところですが、信頼できるところの養殖物なら刺身で食べても安心。
刺身醤油で食べると、とても美味い!
こんな贅沢なランチがとれて、嬉しい限り。

続いて、本命の塩焼き。
「あゆの塩焼き」(950円)と、「子持ち鮎の塩焼き」(1,170円)を一本づつ食べてみました。
奥の寸胴体体形で、お腹がぽっちゃりした鮎が「子持ち鮎」で、手前のスマートで色の濃い錆色の方がオスの鮎。
子持ち鮎を折ってみると、お腹に卵がいっぱい。
この時期だけの味覚です。

オスの方も、もう大きくなって頭から齧るのは硬くて難儀しますが、身ににボリュームがあって味も濃厚。私はどちらの鮎も美味しいと思います。
上流の綾戸簗だと「あゆ飯」は予約制ですが、こちら落合簗だと当日注文が可能です。
味が淡白な鮎と一緒に食べるなら、白飯よりも鮎飯とか蕎麦の方が合うと思うのですよ。
蕎麦は落合簗のメニューにないですけどね。
鮎の名産地、岐阜県の長良川沿い出身のさる文学者が、
「鮎なんて家で焼いて齧り付くもので、料理屋で上品に食べるものじゃない」と言ったそうですが、天然鮎がそんなに簡単に手に入る環境は、それはそれで羨ましい。
ご馳走様でした。
簗には、若鮎から落ち鮎まで、年に3回来て鮎を食べても良いぐらいです。
食べ終わって周りをみたら、他のお客さんは粗方帰ってしまって、最後から二番目の客になっていました(驚)
入り口の看板も、準備中に変わっていました。
平日のランチタイムを外して、空いた時間に来ようなんて考えている旅行者は、営業時間をよく確認しておいたほうが良さそうです。
小振りで食べやすい大きさの鮎の塩焼きを食べさせてくれていた、下流側の坂東簗さんは閉業されてしまい、本当に残念。
でも、こちらの落合簗さんは、コロナ後であっても、益々商売繁盛のご様子で安心しました。
この日は、夕方に日帰り温泉によって夕飯も食べてから帰るつもりだったので、空いた時間に「群馬県立歴史博物館」を訪れました。
隣には、群馬県立近代美術館もあります。そちらはまたの機会に。
圏内の古墳から出土し、国宝に指定された埴輪が常設展示されていて、なかなか見応えがあります。
写真撮影可なのも嬉しい。

古墳時代の甲冑もありました。凄い!
当時は列島内で鉄の生産がされておらず、鉄は貴重品。それゆえ大和王権としては、鉄鉱石が採れる朝鮮半島の利権を確保しつづける必要があったのですが、高句麗の騎馬軍団と戦って、散々に打ちのめさせるような苦戦を強いられたそうです。それで、高句麗軍に対抗するために、何代目かの天皇のときに、なけなしの鉄を使って大量の甲冑を生産したなんて話を本で読んだことがありますが、きっとそんな経緯の甲冑なのでしょう。当時の力の象徴、歴史のロマンを感じます。実物を拝めて感激!
これは、古代の自動車王国の遺物か(笑)
子供の頃、まだ実物が走っていましたので、こちらは単純に懐かしい。
そんなこんなしているうち、そろそろ時間となりましたので、深谷市方面の温泉へと向かいました。
【落合簗】
■所在地 群馬県渋川市北橘町八崎272-2
■営業時間 11時~15時(LO.14時頃) 16時~20時(LO.18時30分頃)
■定休日 6月中旬から9月下旬までの季節営業(期間中無休)
■最寄駅 上越線渋川駅からタクシー
■駐車場 あり












