(残念ながら閉店)
たましんの6階で「東洋古陶磁展」を鑑賞した帰り、駅前で軽くランチして帰ることにしました。
国立駅周辺にはカフェやレストランが多くて、少し歩けば魅力的な外観のお店が沢山見つかります。
だけど大学通りと放射状に伸びる富士見通りや旭通り以外は、狭い一方通行の道が多いし、コインパーキングも混み合いがちなので、車で移動している時にはあまり立ち寄らないエリアなんですけどね。
たましんを出て、駅南口から南西方向に伸びる富士見通りをぶらぶら歩き、西友を越えて2軒目のビルの前まで来ると、階段下にこんな小さな看板が掲げられていました。
「カリーサロン さむくら」さん。
カレーが1,650円もするようです(驚)
しかも「一日限定15食」、「ご予約優先」などと書かれていて、正直“ちょっと怖いな”とも思いましたが、写真で見る店内の雰囲気が「カレー屋」とは思えないような素敵さだったので、好奇心もあって入って見ることにしました。
アクセス
店の所在地は、国立市中1-9。
富士見通り沿いのすずやビルの3階です。
最寄駅であるJR中央線国立駅からは、南口側に降りてわずか徒歩3分と至近。
駅直近のビルに入居しているお店ですので、専用駐車場はありません。
車で来たなら、周辺のコインパーキングを利用するようですね。
入り口は目立たなので、注意していないと通り過ぎてしまいます。
外観と店内の様子
目立たない入り口から見上げると、やや急な階段を登った一番奥の3階に店はあるようです。
残念ながらお年寄りには少々きつい階段ですね。
おっかなびっくり扉を開けて中に入ると、店のフロアは右手のさらに奥にあるようです。
「席の空きはあるのかな」などと心配しながら右手に進むと、カレー屋とは思えないようなスタイリッシュな空間が見えて来ます。
席はカウンターのみの7席。
小さいながらバーかカフェにしか見えない高級感のある店内は、ホテルのバーテンダーのような人当たりのとても良い初老のマスターが一人で切り盛りしていました。
13時半頃の入店で、先客は常連らしい男性が一人。
食事を終えてコーヒーを飲んでいるところで、我々も無事に席に着くことができました。
カウンター向こうの壁には、趣味の良いオブジェとともにBOSEのオーディオが置かれています。
ジャズが静かに流れているのですが、スピーカーにも拘っているようで音の響きがとても良いですね。
キョロキョロと周りを探してしまいましたが、天井に嵌め込んであるものと正面の小さなスピーカーのほかにも何かあるはずです。
店をつくる時点で、音響機器の配置も考慮して設計したのでしょう。
見えないところでお金をかけているコダワリを感じます。
後ろを振り返ると、イタリアンレザー(かな?)のソファーが置かれています。
最近、我が家で買い換えたソファーとデザインがそっくりで(もっと小さいですけど)、趣味が似ているのかな?、そのことがまた居心地の良い気分にさせてくれました(笑)
なるほど、ここはカレー「屋」ではなくて、カレー「サロン」(=応接間)ですね。
メニューと料理
メニューは、カレーが「もも肉ビーフカレー」(1,650円)、「ブリスケ(胸肉)ビーフカレー」(1,900円)、「もも肉牛すじカレー」(1,400円)の3種類。
数日前に要予約すると、カレーを含めたコースメニューもあるようですが、ランチなら料理は基本的にこの3種のカレーになります。
幸い、この日は3種類ともまだ注文できるようでしたので、私が「もも肉ビーフカレー」、妻殿が「ブリスケビーフカレー」を注文することにしました。
カウンターだけ小さな店ですから、客の会話の邪魔をしないように遠慮しているのか、給仕を終えるとマスターは奥の厨房にさがっているようです。
ご用のある時には、このガラスのベルを鳴らすルール。
なんだか面白いですね。
カレーですから注文すればすぐにサーブされてくるのかと思いましたが、
「10分ほどかかりますが宜しいですか?」と確認されました。
“鍋から掬ってご飯にかけるだけ”ではないようですね(笑)
休日のノンビリした午後ですから、全く問題ありません。
さて、予告通り10分ほどで配膳されました。
こちらが、「ブリスケビーフカレー」(1,900円)。
ブリスケとは、霜降りが入りやすく、しっかりした歯ごたえのある前足と胸の間の肉で、煮込み料理に適した希少部位のようです。
こちらは私が注文した「もも肉ビーフカレー」(1,650円)。
どちらも盛り付け方は同じで、肉が二つ、切りそろえられたじゃがいもと人参が一つづつ。
それに小さなピクルスが向こう側に一つ。
こうして見ると、ライスがなければレストランのビーフシチュー的な端正なビジュアルです。
シチューと思えば、この価格設定も標準的と言えますね。
もも肉はよく煮込まれていて柔らかいです。
ブリスケと一つ交換して食べましたが、食感が少し違うかな・・・という感じ。
これだけ煮込んであれば、どちらの肉でも十分美味しいです。
ルーの方は柔らかめで、カレー専門店ならスパイスを効かせて店の特徴を出そうとしそうなものですが、欧風のマイルドな味付けになっていました。
ただ、マイルドなだけではなく、喉を通った後になってスパイシーな辛さも感じられます。
このくらいの辛さなら、強いスパイスが苦手な人でも、適度な辛さを味わえて美味しいと感じるはずです。
うちの妻殿もあまり辛いものは得意でないくちなのですが「美味しい」との感想。
私も体調によらずに食べられる本格カレーだと思います。
気に入りました。
量的には、少食の私にとっては適量。
若い人には物足りないかもしれませんが、もも肉ビーフカレーならプラス200円でライス大盛りにできるようです。
もっとも、この値段のカレーですから、若い人はそもそもこの店を選ばないかもしれませんね。
食後には「ブレンドコーヒー」(450円)を注文しました。
嬉しいことに「濃いめがいいですか?薄めがいいですか?普通くらいの濃さがいいですか?」なんて聞いてくれます。
「普通めで」と頼みましたが、雑味が全くなくて適度な酸味のある口当たりの良いコーヒーでした。
コロンビアベースのブレンドのようですが、カレー屋の珈琲レベルではなく、喫茶店のレベルの味でした。
サロンと名乗るだけのことはありますね。
妻殿は「ハーブティー(カモミール)」(850円)を注文。
「ちょっと高いかな」とも思いましたが、小さなお菓子がついて、砂糖代わりに蜂蜜がついています。
蜂蜜を入れたせいか、ハーブティーもツンツンしない柔らかい味に感じます。
これならこの値段でも納得かな。
ごちそうさまでした。
いやぁ、こんなカレーの店があるんですね。
値段は高いですけど、静かな雰囲気抜群の店で、豊かな休日の午後を過ごせました。
まさに大人のサロンです。
14時もだいぶ過ぎて最後の客になってしまったので、「ごゆっくりどうぞ」とは言われていましたが、そこそこだけノンビリさせてもらってから店を出ました。
もう30分早く来て、もう少しノンビリさせてもらえばよかったなぁ。
この店で週末のランチをノンビリ楽しめたなら、週明けからまた仕事を頑張れそうな・・・
そんな気分になれるお店です。
できるなら仕事なんて頑張らなくても、いつもこんな店でノンビリしていたいんですけどね(笑)