お天気ニュースによれば、急な冷え込みで紅葉が一気に進んでいるとのこと。
それならば、散ってしまう前にどこか近場で紅葉狩りでもして来ようかと、Google先生にどこが良いかとお伺いを立てて見ました。
先生によると、青梅市の北隣の埼玉県飯能市内、天覧山の麓に能仁寺という曹洞宗のお寺があって、そこには名園との呼び声高い日本庭園もあるとのこと。
能仁寺は、徳川将軍家の旗本であった中山氏の菩提寺。
中山氏は武蔵七党の一つ、丹党の一族ですから、生粋の坂東武者ですね。
室町時代以降は、飯能を拠点として山内上杉家から小田原北条家へと仕えますが、豊臣秀吉の北条攻めの際、当主中山家範は、城主北条氏照が小田原に篭り留守となった八王子城を守って戦い、討ち死にをとげます。
小田原北条氏も滅亡し、普通ならここで中山氏の歴史は潰えるところですが、北条家の後に関東に入った徳川家康は、八王子城での中山氏の見事な戦い振りに感じ入り、その遺児を探し出して旗本として登用し、以後幕末まで重用したそうです。
そんなことあって、仁王門から続く寺の参道には、風格ある灯籠が並び、歴史を感じる佇まいがあります。
西武線の飯能駅からは歩くと20分ほどかかりますが、車で行くなら駐車場も用意されています。
それほどメジャーな紅葉スポットではないと思いますが、観光客も数組は来ていました。
急に寒くなりすぎたせいか、青いまま縮れてしまった葉も見られますが、ちょうど見頃ではありました。
一段高い石垣の上にある鐘楼も立派。
天覧山の麓という立地から考えると、かつては中山氏の砦的な位置付けでもあったのでしょう。
庭園は本堂の裏手にあって、拝観料300円を払って中に入ります。
回遊式の庭園ではなく、鑑賞は本堂の縁側からになります。
天覧山からの湧水を引き入れているのでしょうか?
斜面を利用した池泉式鑑賞庭園で、石組みや整った松に見応えがあります。
その様式から、桃山時代の作庭と見られているとか。
個人的には、もっと上の段に紅葉がいっぱいあると華やかになるし、ツツジももっと植わっていれば春の花も楽しめると思いますが。
しかし歴史ある禅宗の寺院ですし、当初の作庭意図とか全体のバランスとかあるでしょうから、気軽に手を入れるのは難しいのでしょうね。
能仁寺は、今でも立派な寺院だと思いますが、江戸時代の往時にはもっとお堂が並ぶ大寺院だったそうです。
それが幕末の戊辰戦争時に、上野の彰義隊から分派した旧幕臣たちがこの寺に立て籠もったところを、薩長の新政府軍に攻撃され、本堂などが炎上してしまったそうです。
この江戸幕府終末期の戦闘を「飯能戦争」と呼ぶそうですが、そうすると能仁寺は、武蔵七党の頃から幕末まで、板東の侍たちの歴史をその黎明期から終わりまで、すべて見て来た寺院だと言うことができそうです。
さて、この後は、飯能河原にある有名な櫟庵で蕎麦でも食べて帰ろうと思っていましたが、google先生に聞いたら何と閉店してしまったとか。
残念ですが仕方ないので、隣の日高市内にある、一度行って見たかった手打ち蕎麦の店まで足を伸ばすことにしました。
【能仁寺】(のうにんじ)
■所在地 埼玉県飯能市飯能 1329
■最寄駅 西武池袋線飯能駅下車徒歩20分
■駐車場 あり