6月終わりのランチどき。
ひばりヶ丘パルコの裏口から外へ出て「秘密の通路」を抜けると、右手には「蕎麦たなか」、左に向かうと「手打蕎麦 柳屋」となる路地に出ます。
知名度や世間の評価となると、蕎麦界伝説の巨匠の隠居店である「たなか」さんが断然上なのですが、
それだけに小さなお店はいつも混雑気味。
この日も路地に出た途端に、サラリーマン風の団体がいそいそと「たなか」さんの方へ歩いていくのが見えました。
行列が嫌いな私としては「今日もダメか」と早々に諦め、左手にある「手打蕎麦 柳屋」さんへ。
手動の扉を開けると、店内には風情はあるけれども微妙に使いづらい丸太横切りのテーブル席と小上がり席。
いつもの「接客業の鑑」のような、物腰丁寧なご亭主が迎えてくれます。
飲み物はお茶が良いか?お冷やが良いか尋ねてくれるので、お冷やをお願いしました。
先客はなく、後から二人組のサラリーマンが来たくらいの混み具合。
静かで、蕎麦を挽く石臼がだけが回っている店内にいると、居心地の良さに気分が落ち着いてきます。
メニューを見るとリーフレット形式に簡略化されたようで、実質的には大きな変更はなさそうですが、十割蕎麦の紹介などがなくなったのかな。
この日選んだのは、夏の季節限定メニューのうち「鮎天ざるそば」と最後まで迷った末に、
「しらすおろしそば」(1,026円)
ねぎ、貝割れ、鰹節、刻み海苔の下に、しらすおろしがトッピングされている「ぶっかけ蕎麦」ですね。
ここのお蕎麦はやや平打ちの細切りで、ふわっとしていて出し汁との絡みが良く、香りも感じて美味しいんです。
もうちょっと混んでいても十分納得できる店なのですが、私的には今ぐらいの「静かな店」でずっとあってほしいと願っています(笑)
何故かちょっと気になって、帰宅後に「蕎麦たなか」さんの様子をネットで検索して見ると、なんと「6月30日を持って閉店」したとのこと。
・・・するとあのサラリーマンの団体は、知っていて最後に食べに行ったのかな?
知っていたなら、最後に並んででも「たなか」さんの蕎麦の食べ納めに行ったのにと、思ってみたもののこれは後の祭り。
後継者不足だったのでしょうか?
昭和の残り香がひとつ消えてしまったようで、こちらには寂しさを感じます。
【手打蕎麦 柳屋】
■所在地 東京都西東京市ひばりヶ丘1-9-1
■営業時間 11:00-20:00
■定休日 水曜日
■最寄駅 西武池袋線ひばりヶ丘駅 南口下車徒歩5分
■駐車場 有り