道向かいにあった看板が撤去されているので、どうやら閉店した模様。
高齢のご夫婦のみで切り盛りしていたので、やむなしか。
閉店前に、ここの猪料理を味わえて良かった。
平成最後となる今年の干支は亥。
ならば猪肉でも食べて運気を上げていこうかと、やってきたのは群馬県中之条町にある
『猪料理 太家(たや)』さん。
関越自動車道の渋川伊香保インターから、四万や草津の温泉地に向かう途中、道沿いに立つ「猪料理」の看板を見かけては、一度入ってみたいと思っていたお店です。
猪料理の専門店なんて、他所ではほとんど見かけないですからね。
🌀アクセス
猪料理 太家さんの所在地は、群馬県中之条町市城。
最寄駅はJR吾妻線の市城駅で、駅からは700mほどの距離。
特急も停まる隣の中之条駅からなら約3km。
しかし吾妻線は1時間に一本あるかないかの運行本数なので、ほぼ車での利用が前提のお店です。
車なら、関越自動車道の渋川伊香保ICから吾妻川沿いの国道353号を走って約20km、時間にして30分程の道程。
「道の駅おのこ」を通り過ぎ、中之条の市街地に入る少し手前にある、この看板が目印です。
国道から敷地内に入って、傾斜を上がったところが駐車場。
駐車スペースは結構広くて、勾配がついてはいるものの大型車を含め、10台以上は楽に停められそうです。
ドライブがてらに立ち寄るのには便利なお店です。
🌀外観と店内の様子
駐車場から、さらに階段を数段上がった先に二階建てのお店があります。
少々年季が入ってはいますが、山村の古民家を模したような大きな建物。
かつては行楽や近隣の宴会などの団体でもっと賑わったのであろう、昭和の残り香のようなものを感じます。
階段脇に鎮座しているのは、綺麗な毛色をした大猪の剥製(!)
捻じ曲がり反り返った牙が、重ねた齢を感じさせて見事じゃないですか。
毛の色は焦げ茶の部分もあるけど黄色っぽくて、山にいた頃はもっと艶があって金色の毛に見えたかも。
山の主の風格十分です。拝めば金運が上るかも(笑)
店内に入ると、初老なんてもうとっくの昔に通り過ぎた(失礼)お婆ちゃんが迎えてくれました。
先客はなし。
これまたとっくにもう..(略)なお爺さんと二人で店を切り盛りしているようです。
席は、入ってすぐの厨房に近いところにガスコンロ付きの小上がり席。
向かい側や奥の方には和室もあるので、大人数ならこちらを使えそう。
席数はかなりありそうで、現在の人手の数はともかくとして大きなお店です。
店の外観もそうだけど、室内も全体に昭和レトロ感が満載。
🌀メニューと料理
壁に貼られた新聞記事を見ると、創業は昭和54年。
猪は野生のジビエではなく、なんと自営牧場で飼育したものだとか。
成る程、専門店として一年中安定して猪肉を提供しようとすると、そうする必要があるのですね。
メニューを眺めると猪料理としては、牡丹鍋、焼肉、刺身、ホルモン焼き、の一品料理と定食。
それに、どれも食べたい欲張りな人用の全部入りフルコース定食があります。
ランチなので控えめにしたいけれど、初訪問なので一通り食べてみたいと言うことで、
注文したのは
牡丹鍋定食2人前に、単品で猪刺身と猪ホルモン焼きを追加。
ちょっと頼みすぎたかな、テーブルが猪料理で一杯になりました。
やや時間がかかってから(20〜30分)の配膳で、足元がかなり怪しくなっているお爺さん店主が、「やれやれ、どっこいしょ」と鍋を運んでくれるのを見ているこちらの方がヒヤヒヤものでした。
そしてこちらが、「牡丹鍋定食(2,500円)」の牡丹鍋。
猪肉料理といえば、やはり牡丹鍋が定番中の定番ですね。
テンションが上がります(笑)
こちらの猪肉をよく見ると、時期的にも野生的な脂身がもっと付いていて、赤身の色ももっと深く濃い色なのかと予想していたのですが、豚肉に近いような外観に感じます。
それでも、お皿の中央部分の濃い赤身肉の色や、そこに付いた脂身のツヤに猪肉らしさを感じます。
早速、味噌味でうどんも入った具沢山鍋に投入してグツグツと。
この鍋の中の野菜は、自家菜園で無農薬有機栽培したものだとか。
しっかり猪肉に火を通してから、お椀によそり・・・
熱々のところを食べれば、そりゃあ旨いですがな!
肉の脂が溶け出して味噌味スープもさらに美味しくなり、体がポカポカと温まってきます。
猪肉自体の味は、餌を吟味して飼育した猪だけあって、臭みはなく食感も柔らか。
ジビエ好きには、もっと食べづらいくらいにワイルドな食感と風味であっても歓迎するのですが、それぞれ好みもあるでしょう。
この猪肉なら、誰もが美味しく猪肉を楽しめると思います。
ところで、定食はお値段が2,500円と、ややお高い印象もありますが、
ひえめしの他に小鉢類や・・・
野菜やキノコの天麩羅まで付いていて、結構なボリュームがあります。
お品書きを見ても天麩羅付きとは書いてなかったので、これはこの日のサービスだったのかな?
ともかく全体的にボリュームがあって、納得のできる価格設定です。
こちらは、珍しかったので単品で注文した「猪刺身」(1,800円)
猪って豚と同族のはずですから、刺身で食べれるとは思いませんでした。
刺身で食べられるように、一度冷凍して殺菌しているのでしょうか。
甘酢ダレをつけて食べると、これも意外と柔らかくて臭みもなく、山肉っぽい風味はあるけど、どちらかと言えばアッサリ味。
へぇ〜、こんな味なんだ!
最後に単品の「猪ホルモン焼き」(600円)
卓上のガスコンロで焼きます。
これが一番野趣に富んだビジュアルですね。
これはゴハンがすすみます。
お値段もリーズナブルだし、良いんじゃないでしょうか。
ひえめし(稗入りご飯)も、山里のご飯って感じて、猪肉との相性はバッチリ。
珍しい山里の味、ごちそうさまでした。
珍しさからつい、胃袋のキャパ以上に食べてしまいました。
飼育したものであるとは言え、猪肉ばかりこんなにご馳走になれたのは貴重な経験でした。
しかし、どうやらこの日のランチ時間の客は私たちだけ。
建物の規模から考えると、嘗てはもっと賑わっていたように見えるのですが…
この近辺で山里料理的なものが食べるなら、今は皆んな伊香保の時代屋さんあたりに行ってしまうのでしょうか。
洗練されすぎていない、こんな猪肉料理専門店も良いと思いますけどね。
老夫婦だけで営業していて後継者もいなさそうですので、もし大勢で行くのでしたら事前に予約した方が確実かな。
少人数の時も準備に時間がかかるかもしれないので、時間に余裕のある時の訪問が宜しいかと。
【猪料理 太家(たや)】
■所在地 群馬県吾妻郡中之条町市城118
■営業時間 11:30-20:00頃
■定休日 年中無休(元旦除く)
■最寄駅 JR吾妻線 市城駅(だけど本数少ない)
■駐車場 有り