青梅旧市街地の西の入り口に位置し、義賊“裏宿七兵衛”の出身地でもある裏宿町内。
旧青梅街道沿いに評判の手打ち蕎麦屋が2軒、競い合うようにして営業しているのですが、どちらの店も人気があって昼時には駐車場がすぐに満車になってしまいます。
おかげで何年も前から気にはなっていたのですが、どちらのお店も未訪問。
この日はちょうど客が一回転したあとだったのか、駐車場が珍しく空いていたので、東側の店の方に突入してみました。
石臼挽き自家製粉・十割手打ち蕎麦『わせいろう』さんです。
最寄駅は、JR青梅線青梅駅。
駅からは西へ向かって約1㎞、歩くと都立多摩高校を目指して12分程の道のりです。
駐車場は、店の前に6台分。
普通なら十分なんでしょうけど、昼時は「空いていたらラッキー」な状況です。
店の外観は、モダンな一軒家の民家。
店内に入ると、高めの天井に床は黒光りしたフローリング。
やや暗めの店内です。
妙なところに柱が並んでいるので、元は住宅として使用していた建物を店舗に改装したものと想像できます。
入り口正面には麺打ちスペースがあって、確かに手打ち蕎麦だぞとアピール。
席は、テーブル席が4人用と二人用が二つづつ。
奥には座敷席もあって、座卓が六つ程並んでいるようでした。
住宅用に作られた建物なのでフロアが入り組んでいて見通しが悪いのですが、お互いの視線が遮られて、客としてはかえって落ち着けますかね。
全体にシックで趣味の良い雰囲気です。
メニューを見ると、「冷たい蕎麦」から「温かい蕎麦」から、ミニ丼との「そば膳セット」まで、ソツなく揃えられています。
夏はまだ先だというのに外は30度近い気温の日だったので、選んだのは
冷たい『桜海老のかき揚そば』(1,380円)。
大根おろし、油揚げ、貝割れが添えられた蕎麦は、角が立っていてツヤのある細打ちで、自家製粉らしくホシが散ったもの。これはいかにも美味しそう。
大根おろしもあるし鉢に盛られているので、汁を回しかけて“ぶっかけ蕎麦”にしても良さそうです。
食べてみると、偶々なのか蕎麦が短い部分もありましたが、コシがしっかりあって風味もあり、見た目通りの美味しい蕎麦でした。
ここは青梅の蕎麦屋としてはまだ新しい店なので、街道沿いで入りやすい「観光客向け」の店なんじゃないかな?なんて実は疑っていたのですが、ナカナカ本格的な蕎麦で御見逸れいたしました。
これなら何時も駐車場が混雑しているのも理解できますね。
ちなみに蕎麦粉は、山形県産の最上早生とのこと。
桜海老のかき揚げは、ふんわり揚げられていて、箸を入れるとパラパラと崩れていきます。
香ばしく、油がくどくなくて美味しいのですが、ボリューム感はありません。
かるく崩してから蕎麦の上に載せて「ぶっかけタヌキ蕎麦」的に食べるのも美味しいかも。
桜海老は、大井川産のものを直接仕入れているそうです。
一方、連れの注文したのは『天ざるそば』(1,360円)。
こちらはセイロに盛られています。
海苔が別皿なのは、蕎麦の水気でベタッとさせない配慮か?
天婦羅は海老、キス、カボチャが、衣薄めに揚げられています。
かき揚げもそうでしたが、家庭料理の延長ではなく、キチンとした蕎麦屋のキチンとした天婦羅だと見てとれます。
ごちそうさまでした。
『わせいろう』さんでは、山形県産の最上早生と、茨城県産の常陸秋そばの二種類の玄蕎麦を、1年分仕入れてから低温貯蔵庫で保存管理しているので、いつでも新そば同様の味を楽しめるとのこと。
それを石臼で自家製粉したり、その他食材についても、桜海老やお米を直接産地から仕入れたり、敷地内の井戸から汲み上げた地下水を使って蕎麦をうったり米を炊いたり・・・と、産地や調理法を手間暇惜しまず工夫しているようです。
1年分の蕎麦粉を貯蔵できる低温貯蔵庫なんて昔はなかったんでしょうから、このあたりは新しい蕎麦店がもてるアドバンテージですね。
こだわった分だけ、価格帯がお安いとは言えないレベルになりますが、それでも十割手打ち蕎麦としてはリーズナブル。
ランチどきに駐車場が空いてさえいれば、突入してみる価値のある手打ち蕎麦店なのでした。
ちなみに、中里介山の長編時代小説「大菩薩峠」にも登場する「義賊 裏宿七兵衛」の屋敷跡は公園になっていて、わせいろうの西側、徒歩3分のところにあります。
なんでも甲府まで一晩で走って往復したんだったかな?
お墓は市内の宗建寺。
足を負傷した元横綱北の湖関ら、アスリートたちもお参りしているそうです。
【手打ち蕎麦 わせいろう】
▪️所在地 東京都青梅市裏宿町597-2
▪️営業時間 11:00~15:00
▪️定休日 火曜日
▪️最寄駅 JR青梅線青梅駅 徒歩12分
▪️駐車場 有り(6台)