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『鮨処 朝日屋』@山形県 鼠ヶ関〜近在で一番人気の握り寿司

新潟県の村上市から山形県の庄内地方に向かって、笹川流れの景観などを横目にしながら日本海沿いの道を北へと車を走らせると・・・

やがて山形との県境を越え、今は鶴岡市内となった鼠ヶ関に至ります。

ここは天然の良港に恵まれた港町で、かつては地名の通りに北国街道の関所も置かれていた交通の要衝。
今は漁港と隣り合うように、人工ビーチやマリーナが並ぶ、こじんまりとした海沿いの町です。

漁港の隣には岩牡蠣一夜干しのイカなどを手軽に食べることができる浜茶屋があって、私も何度か立ち寄ったことがあるお気に入りのスポット。
それほど混雑していないところが、また良いのです。

でもここ数年、庄内地方も地震やら水害やらに度々見舞われているので、だんだん寂れてしまわないか、ちょっと心配ではあります。


この小さな町には、鶴岡近在での評価が抜群に高く、予約なしだと1時間は待たされるというお寿司屋さんがあるのです。
マリーナから道一本挟んですぐ陸側にある「鮨処 朝日屋」さん。
鮨処朝日屋

鼠ヶ関漁港にあがる新鮮な地魚を中心に握ってくれる人気店です。


🌀アクセス

朝日屋さんの所在地は、山形県鶴岡市鼠ヶ関丙151

最寄駅はJR羽越本線 鼠ヶ関駅で、駅からは真っ直ぐ海へ向かって徒歩3分。小さい町です。
駅近ではありますが特急も止まらない駅なので、列車が来るのは一時間に一本程度のみ。
電車で行くなら、行き帰りの列車の時刻は、事前によく確認しておく必要があります。
旅行者にとっては、車での訪問が便利かな。

駐車場はあるのですが数が少ないので、路駐してしまっている方が多そうです。

確かに、今は人通りも少ない鄙びた町なので、特に邪魔にもならなそう。
でも、旅行中に何かあったら嫌なので、私はマリーナの有料駐車場に停めさせてもらいました。


なに、それぐらいの出費は気にならないくらい、訪れる価値のある店であるはずです。


🌀外観と店内の様子

お店の外観は、マリーナのすぐ道向かいにある総二階建ての大きな建物。

こんな小さな町にもインバウンド客が来るのか、ポップでファンキーな看板が愉快(笑)
鼠ヶ関の岬にある灯台と神社から、朝日が照らす烏賊頭巾侍かな。
いゃ、こういう趣味は嫌いじゃないです。
そんなに敷居の高い店ではなさそうで、少し気が楽でもあります。


暖簾をくぐって店内に入るとウェイティングボードが置かれていて、8月上旬の休日の昼時の訪問で、予約なしだとやはり60分待ちのようです。

さすが、噂通りの人気店。

この日は、数日前に既に予約をいれてあるので、席の心配はなし。
迎えてくれた「寿司屋の女将」というよりは「漁協のおばちゃん」といった雰囲気の方に予約名を告げると、二階の席に案内されました。

一階にはカウンター席があって、中から板前さん達の「いらっしゃいませ〜」との超威勢の良い声が届きます。

この大声での挨拶、店の名物のようです。
漁師町の寿司屋らしくて、元気があって気持ちが良いんじゃないですか。

階段の手前で靴を脱がされて、上がった二階はテーブル席が並ぶフロア。
窓からは鼠ヶ関のマリーナと海が見渡せるナイスなビュー。

ただ、今回の席は窓側ではなかったのが残念。
海側の席は、もっと早く予約しなきゃならないのかな?
まぁ、奥の席からも外が見えるので、開放感はあります。

客層は、ご夫婦連れ、家族連れ、海外からのお客さんを案内しているグループ等々と、様々。
比較的ラフな格好な方ばかりで、「高級寿司店」というよりは、「漁師町の寿司屋」といった風情です。

肩肘貼らずに、寿司だけを楽しめる店といえるでしょう。

店内の装飾は、なんというか個性的で….

安全祈願とか縁起担ぎとか、はたまた商売繁盛とか、そんな小物が沢山飾られています。

漁師町だと、そう言った縁起のよい小物を好む傾向があるのかな?

どれもご利益ありそうな品物ばかりですから、寿司屋に並ぶと何だか妙な気はするけど不快なものではないし、これもこの店の個性の一つですね。


🌀メニューと料理

メニューを見ると、1ページ目に前菜おつまみ的な献立が並んでいますが、やはりお盆前のこの時期は、何てったって「岩牡蠣」がトップ。

このページを見ると、にも自信がある様子。

庄内浜の紅ズワイガニは、知名度は低いのですが、水族館のある加茂の漁港に揚がるそうです。
も庄内浜から揚がるそうですから、これも日本海の近海物かなぁ?

鮪と蟹にも強く心惹かれますが、ほぼ年中食べることができるはずだし、せっかくお盆前のこの時期に来たのだから、期間限定の岩牡蠣を注文せざるをえません。

うぉっ、大きくて肉厚(喜)
ボリュームがあって、海の旨みたっぷりで、ねっとりとミルキーなお味。

最高です!

それにしても、新潟の笹川流れから庄内浜、さらに鳥海山沖で獲れる岩牡蠣は実に美味くて、感動的ですらあります。
今年の夏も、ここに来ることができて本当に良かった(涙)

すると妻殿が、メニューを見ながら「次は、さざえの天ぷらも食べてみたい」とおっしゃるじやないですか。
えっ!?漁港のある町で鮮度抜群の魚介が食えるのに、わざわざ天ぷら?
と、思ったものの、確かにあまり食べたことがない気がするので追加注文。

串焼きになって出てきました。

なかなか綺麗に揚げられてますね。

食べてみると、これはビールのつまみには最高な一品。雑味もなく、素材の良さも感じます。
ただ、ものとしては海沿いの観光地の食堂なんかで、似たような揚げ物を食べたことがあるような….
(そんなお店の揚げ物は、もう少し臭みがあったりはするのですが…..)
今日はビールも飲まないし、これなら紅ずわいがにでも食べれば良かったかなぁ。

庄内浜の紅ズワイガニは、山陰の松葉蟹のようにブランド化されていないので、価格もリーズナブルなはず。
それに、ズワイガニと比べて日持ちの悪い紅ズワイガニであっても、産地で食べるのだから、鮮度も甘味も落ちていないはずですから。
まぁ、こんなことも試してみなけりゃ分からないことですから、次回は蟹を(出来れば鮪も)食べてみることにしましょう。

さて、メインとする握り寿司は、「おまかせ10貫」「地魚」「貝類」「白身だけ」の4種類。
ランチの価格設定としては、かなり強気なもの。

ちらしなどの「丼もの」もありますが、ここは寿司屋なので、まずは握り寿司が食べたいところ。
色々な寿司ネタを食べたいので、選んだのは値段が一番高い、今となってはベタなネーミングの
「ひこまろ握り」(4,500円)

地魚水揚げ量、山形県内1番の鼠ヶ関漁港の誇りをかけた.おまかせ10貫の握り寿司です。
「宝石箱やぁ〜」

横長のでっかい寿司下駄に、迫力の10貫横一列。
しかしなぜ、横一列に並べる?(笑)

シャリの大きさは、デフォルトではやや大きめに握ってくれますが、小さめにしなくて良いか注文時に確認してくれます。

10貫の内容は、左から白身の地魚4種

この日は、キジハタキダイ(レンコダイ)ホウボウ真鯛
どれも白身の高級魚。

キダイ(レンコダイ)のアップ。

こちらは白身魚の王様、マダイのアップ。

この4種の白身魚の味の違いを的確に表現する言葉を私は知りませんが、それぞれに違った旨みがあって美味しい。
キジハタなんかは、比較的暖かい海の高級魚だと思うのですが、鼠ヶ関にも揚がるのですね。
庄内浜は魚種が多いようです。

でも、せっかく白身魚が贅沢に4種もあるのだから、醤油だけではなく藻塩か柚子塩でも添えてあればもっと良かったかな。

真ん中には、ないと寂しい軍艦系が二つ、いくらマグロの中落ち

ネギトロは海苔が巻いてないですけどね。

その右側には、その他贅沢系ネタの、ベニズワイガニとこぶしトロガザエビが並びます。

ここで登場してくれなかったら悔いが残った、ベニズワイガニ
身がたっぷりと。

やっぱり産地の漁港ならでは、蟹の風味がしっかりしていて美味い。

こちはトコブシだと勝手に思い込んで食べてしまったけど、本当はどうだろ?

ちょっと食感が柔らかかったからアワビではないよねぇ。
どちらにしても、鮮度の良い貝の刺身は美味いに決まってる。

トロは、脂がのっている割にはさっぱりとして、それでいて旨味はしっかりで、言う事なし。

きっと、近海物の鮪なのでしょう。

海老は、日本海でしか獲れないガサエビ。私も大好きな寿司ネタです。

甘エビよりも、ねっとりした甘みが強くて美味いのですが、鮮度がすぐ落ちてしまうので、太平洋側ではあまりお目にかかれません。
ここまで来た甲斐があったってものです。

あら汁は、こんな感じ。

おかわりは、できたっけかな?
あら汁を二杯も飲む必要ないですけどね。

ご馳走様。どれも美味かった!
これにうまい雲丹があると、私にとっては完璧な構成なのですが、庄内では雲丹は獲れないのかなぁ?

次に来るときは、貝類誰の握り(4種×2貫ずつ)を頼んで、2人でシェアしてみたいけど、それでは食べ過ぎかな(笑)


ちなみにここ鼠ヶ関は、かの源義経一行が、兄頼朝に追われて奥羽落ちする際、能登から船で日本海を渡り、佐渡を経由した後に上陸した地のようです。

ここからは陸路、平泉を目指してまだ険しい道を進むのですが、奥州藤原氏の勢力圏に入って、ほっと一息ついたのではないのでしょうか。そんな歴史の一舞台です。
源氏の一族は同族同士の殺し合いが歴代酷いし、平家のような雅さや文化性をもたないので、私はそれほどシンパシーは感じないのですけどね。義経自身、京都では騙し討ちのようなことをしているしね。


ここから車で30分ほど新潟方面にもどれば、笹川流れの奇岩巡りの遊覧船乗り場

東京からは400km以上ある遠隔地ですけど、周辺の観光と組み合わせて訪れる価値はあるかと。

このエリアをドライブするのは好きなので、遠くても私はきっとまた行きますけどね。
酒田市内には「こい勢」さんもあるし、庄内地方で行きたい寿司屋が増えてしまいました。


【鮨処 朝日屋】
■所在地   山形県鶴岡市鼠ヶ関丙151
■営業時間  11:30-21:00 (金土日は22:00まで)
■定休日   月曜日
■最寄駅   JR羽越本線 鼠ヶ関駅
■駐車場   有(6台)



 

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