またも有り難いことに、歌舞伎のチケットが手に入った(喜)ので、休日の銀座へとお出かけです。
今回の演目は、スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」。
三代目市川猿之助が創始したスーパー歌舞伎の第一作目です。
宙乗りや早替わりなどのけれん芸に、当初は賛否があったものと記憶していますが、早いもので初演からもうすぐ40年。
幕が下がるのは21時前なので、夕食はまた幕間に銀座三越の買観劇用弁当を食べてすませるとして・・・
それだけではちと寂しいので、遅めの昼食を銀座でとってから会場入りすることにしました。
でも銀座なんて、こんなことでもなければ滅多に来ることもないアウェイの土地なので、お手頃価格でゆったり食事ができる店なんて知りやしません。
インバウンドなんてものが完全に復活してしまったようで、高級ブランド店の周辺をはじめ、そこいらじゅうが人混みだらけの中、空いている食事処を探してウロウロ歩き回るなんて、考えただけでゲンナリします。
せっかくの休日の観劇なので、まぁ多少なら値段が高くても、どこかの店の席を予約しておいて、一日を丸ごと優雅な気分で過ごしたいところ。
歌舞伎観劇前のランチですから、和食か、銀座らしい洋食が良かろうと、まずは思いつくまま有名どころの資生堂パーラーのウェブサイトを確認してみると、驚いたことになんとその日は既に満席(!)。
マジですか!? あんなコロッケやカレーやオムライスが一つ3,000円以上するような店が、まだ2週間以上先の話なのに、ランチでも予約で一杯だと?! 皆んなどれだけ金持ちやねん!
驚きつつも、ではいっそさらに高級志向の洋食店である、みかわやを予約サイトで検索してみると、これまたランチの席は既になし。銀座怖い!
寿司屋なら空席が見つかるけど、お祝い事でもないのに、ランチに1万円以上出す気には流石になれない。
某国の春節の影響もあるのか??銀座の休日のランチ事情を甘く見ていたようです。
焦りながらネット検索を続けていると、銀座五丁目の三笠会館に鰻専門店がオープンしたようで・・・
14:00からの席の予約が取れて一安心。その後の買い物や移動時間を考えるとちょうどよい時間で、しかも席料なしで個室が使えるとのこと(喜)。
あぁ良かった。困ったときの三笠会館さまさまです(笑)
🌀アクセス
三笠会館本店の所在地は、中央区銀座五丁目。
銀座のど真ん中です。
最寄駅は、地下鉄日比谷線・丸ノ内線の銀座駅。
B5の出口から地上に上がり、マツモトキヨシの角を曲がって並木通りに入ったすぐ先にあります。
専用の駐車場はありません。銀座のど真ん中なのですから当たり前です。
西銀座駐車場の割引券をもらえるようですが、銀座なんてマイカーで行くところではありません。
🌀外観と店内の様子
三笠会館は、大正時代末に奈良県出身の初代が、かき氷屋を開いたのが始まりで、間もなく創業100年。
その後、食堂として深夜まで営業する業態がタクシー運転手など、遅くまで働く人たちに人気となって繁盛したそうです。
外食として若鶏の唐揚げを初めてメニュー化した発祥の店でもあります。
初代が奈良出身なので、店名も三笠で、マークが鹿なんですね。
戦後は多店舗展開しており、銀座本店では7階建てのビルの各階に、カクテルバー、イタリアン、フレンチ、和食、中華、鉄板焼きの店を揃えて、ここに来れば何でもアリな状態。
郊外の街にも支店を展開していて、多摩エリアでは聖蹟桜ヶ丘にある鉄板焼きの店に、以前私も行ったことがあります。
外観を見ると、さすが銀座の老舗料理店だけあって、一階部分は石積み風の外観に高級感があります。
ちょっと、デパートの入り口のようにも見えますね。
入口はガラスの扉で、中の様子が薄ら見えるので、まずまずビビらずに中に入れるかな。
特にこの日は予約もしてありますからね。堂々と扉を開けて中へと入りました。
店内は、照明が明るく、高い天井のフロアのフロアの中央に桜の花が生けてあって、とても華やいだ雰囲気。
すぐに案内のスタッフが迎えてくれて、鰻屋で予約していると告げると、
「お待ちしていました。3階でございます」と言って、エレベーターまで案内してくれました。
応対はとっても丁寧。
3階でエレベーターを降りると、フロア全体が【しゃぶしゃぶ・すき焼き 吉野】となっていて、その中に鰻専門店とかき氷処が併設された形。
右手側がテーブル席の入口で、左手側から靴を脱いで上がった先が畳の座敷席。
こちらにも大きな生花が飾れていて、全体は和風の落ち着いた雰囲気でありながら、ゴージャスさもあり。
今回予約してあるのは、【うなぎ専門店 斑鳩(いかるが)】の、鰻重を座敷席でいただくブラン。
和服姿のスタッフが迎えてくれて、畳敷の個室に案内してくれました。
2人で使うには贅沢すぎる大きさです(喜)
この部屋を個室料なしで使わせてくれるのですから、これは素晴しいプラン。
いつまでも、この予約プランがあってくれることを期待してしまいます。
🌀メニューと料理
うなぎ専門店斑鳩は、昨年オープンした店で、開店にあたっては浦和にある川魚料理店「萬店(まんだな)」の監修を受けたとのこと。
創業から継ぎ足されてきた、自慢のタレも分けてもらっているそうです。
浦和の萬店では、国産の活鰻を使っているそうなので、こちら斑鳩でも、鰻にはこだわってくれているはず。
メニューとしては、鰻重が松と竹の二種類。それと、鰻重に前菜や刺身、デザート等を加えたコース料理があるのみ。
選択肢は多くはありません。
時間予約して伺っているので、そう時間はかからずに鰻重が配膳されるだろうし、メニュー表を見てもきも焼きなどの一品料理がないようでしたので、取り敢えず自家製ジンジャーエールを追加注文。
生姜の辛さが喉に気持ちよく、美味しいものでした。
風邪予防にもなりそう。
肝吸いと香の物つき。
添えられているのは、京都産の山椒。さわやかな風味のある山椒と感じました。
身も崩れておらず、綺麗な焼き上がり。
いかにも、銀座の料理屋の鰻重といった見た目で、姿形に欠点が見つかりません。
蒲焼の身は、それほど厚みがあるわけではなく中庸なもの。
身の硬さは、柔らかすぎることもなく、箸で持ち上げても崩れることもない。外側がカリッとしていて、中側は柔らかな感じ。
脂がくどいようなこともなく、小骨も全く気になりません。
ご飯には、特別に分けてもらったという、萬店のタレが満遍なく掛け回されており、全体にバランスの良い、美味しい鰻重となっています。タレの味は、甘辛くもない、あっさりした都会的な味わい。
ご飯の量としては、やや少なめ。
追加料金でご飯の増量もできるようですが。なるほど、これはコース料理の締めのご飯として食べることを想定した鰻重のようです。
銀座のビルの中で焼かれる蒲焼ですから、きっと備長炭などは使っていないのでしょう。それでも小骨の気にならない焼き上がりにするのですから、きっと、捌き方や、大きさなど、この店の焼き方にあった鰻をしっかり仕入れているのでしょう。
一度、浦和にあるという「萬店」の鰻も食べてみたくなりました。
ごちそうさま。
個室であっても、時々お茶の継ぎ足しや、飲み物の追加注文はないか聞くために顔を出してくれるし、夜まで個室に次の予定が入っていないのか、急かされることもなく、ゆったりと気持ちよく部屋を使わせていただきました。
銀座の真ん中で、このような接客は実に嬉しい。
休日の銀座って、喫茶店も混んで並んでいたりするので、中途半端に時間が余ると、座って寛げるところが少なくて困るのです。
三笠会館で一時間と少々ゆっくりと過ごしたのち、三越の地下で寿司弁当を買い、会場時間に新橋演舞場に着きました。
銀座に来慣れていないお上りさんにしては、観劇前に良い時間の過ごし方ができたのではないでしょうか。
もう、銀座での食事は、全て三笠会館で良いのではないかとさえ思えた一日でした。
いゃでも、いずれ資生堂パーラーやみかわやの洋食も食べてみたいですけどね(笑)
三笠会館 うなぎ専門店 斑鳩
■所在地 東京都中央区銀座5-5-17 三笠会館本店3F
■営業時間 11:00~22:00 LO 21:00
■定休日 1月1日
■最寄駅 地下鉄 銀座駅
■駐車場 なし