香港で12店舗を展開している、本場の香港料理店『蘇哥清湯腩』(ソーゴーチンタンラン)の日本一号店が、瑞穂町の国道16号線沿いにオープンしたと聞き、興味津々で行ってきました。
香港ミシュランにも掲載された実力店なのだそうですが、なんでそんな店が、都心から遠いこんなロードサイドに一号店を出すの??って感じです。
まぁ、何かの誤解や気の迷いであったとしても、三多摩人にとっては、車で行きやすい場所に出店してくれたことには感謝しかありません!
しかし、蘇哥清湯腩って店名を漢字で書かれても、ぱっと見で読めないし、意味もわからない??
そもそも、外の看板には「チントンラン」と振り仮名がふってあるけど、店内のメニューなどには「チンタンラン」と表記されています。…どっちなのよ?

Google先生の翻訳によると、「蘇兄さんの、豚バラ肉の澄ましスープ」って意味のようです。
あとは中国語でスープを意味する「湯」の文字を、「タン」と読ませるか、「トン」と読ませるかで日本語表記にブレが生じているようですね。日本人に馴染みやすいのは「タン」の方かもしれませんが、広東語の発声は「トン」に近いようです。
アクセス
蘇哥清湯腩さんの所在地は、東京都西多摩郡瑞穂町二本木804-2。
車でいくなら、国道16号線を新青梅街道との立体交差からさらに北上して約3km、7分ほど車を走らせた外回り車線側にあります。さらにあと700mも北上すると埼玉県。
狭山平の交差点を過ぎ、左カーブを抜けると、左側路肩に置きガードレールが並びだしますが、すぐその先のガードレールの切れ目のところが入り口。周りの車の走行速度も速いし、ちょっと分かりづらいかも。

また、国道16号線は中央分離帯のある4車線道路なので、逆側の内回り車線から来ると、どこかでUターンしてこなければなりません。これも、ちと面倒。
駐車場は、敷地内に10台分ほど用意されています。
幹線道路沿いのロードサイド店としては、やや少なめなスペースのように感じますが、混雑しそうな週末の夕方、18時頃の訪問なのに先客の車は2台のみ。結果として、広々とした駐車場に楽に車を駐めることができました。
外観と店内の様子
元は大衆的な中華料理屋だったところに居抜きで入居した店なので、建物の外観はよくあるロードサイドのラーメン屋といった風情。大きな看板が建物の側面を覆い隠しているところが特徴的。
店内に入ると、香港から派遣されたのだと思われる女性の店員さんが、カタコトよりは少し流暢な日本語で案内してくれました。スタッフは、おそらくフロアに2名、厨房に2〜3名くらいの態勢。
近頃増えてきた大陸系の格安中華料理店に入ると、無愛想な接客にあたったりしますが、ここはまだ不慣れな感じはするものの、ずっとフレンドリーな対応。
そして、店に入った途端、香港や台湾の屋台村で感じたような、八角などの香辛料やらオイスターオイル(?)なんかの油が混ざったような独特の香りを感じました。全ての日本人が好むとは思えないこの香り、アジア旅行に行かなくなって10年以上経つので、私にとっては懐かさもあります。
あぁ、こりゃあ本格的に本場ものの店だ!
座席は前の店のまま、四人がけテープル席の周りを小上がり席がL字に囲む配置。香港料理店らしくなくて面白いし、改装費に無駄なお金を使わないという店の姿勢には好感が持てます。
混雑具合としては、席数は多いのですが、この日は先客が1組に後客が1組といった客の入り具合で、他人事ながら経営状態がちょっと心配になります。
しかし、混雑した店が大嫌いな私としては、週末の夜、静かに食事ができるこの環境は実に素晴らしい!
メニューと料理
メニューを広げて、つらつらと眺めていると、
女性の店員さんが「初めてのご来店でしたら、ご説明しましょうか?」と声をかけてくれました。このあたりの気配り加減は、資本主義経済のなかで商売をしてきた香港資本の店ならではで好印象。
それによると、一押し料理は、やはり店名にもなっている「清湯腩(チンタンラン)」。
“独自の漢方素材をブレンドしたスープで牛肉をじっくり煮込んだ料理” で、すっきりした味のスープは美容や健康にも良いと、女性や年寄りへの殺し文句付きです。

そして、プリプリの海老がまるごと入った「海老ワンタン」も人気だとか。
うんうん、香港料理といえば、海老だよねぇ。
清湯腩も海老ワンタンも、麺類との相性が抜群なので、組合わせてメイン料理とするのもオススメ。
麺は、日本のラーメンと同じ拉麺、米粉で作った米線(ミーシェン)、春雨のような酸辣粉(スーラーフン)の三種類があって、スープ毎に選べる麺の種類が決まっています。
清湯腩にしても海老ワンタンにしても、スープの味付けは「すっきり漢方スープ」と「坦々スープ」から選べ、また元々は四川料理である酸辣粉は、酸っぱ辛い酸辣スープに春雨麺を組み合わせて食べます。
また、サイドメニューとして香港で人気なのが、皮つき豚バラ肉をローストした「焼腩仔(シユナンチャイ)」と、骨ごとぶつ切りにした皮付き鴨肉をローストした「香港焼鴨」。どちらもお店の窯で、皮がパリパリになるように焼き上げた自慢の一品なのだそうです。
その他、単品料理には焼き餃子、一品料理には、チンジャオロースや酢豚などもあります。
単品料理の種類はそれほど多くもないのですが、メイン料理として食べる麺とスープの組み合わせが、色々とありすぎるくらいあるので、どう注文を組み立てるべきか悩みます。
熟慮の末に選んだのは、清湯腩に拉麺を合わせ、煮込んだ牛ハチノスと牛バラ肉、牛スジ肉の三種をトッピングした「牛三宝麺」(1,180円)

トッピングの煮込み牛肉は、牛バラ肉、牛ハチノス、牛スジ肉から一種類だけを選ぶこともできますが、それぞれどんな味なのか気になったので、三種とも入った全部載せの三宝麺にしてみました。
それにしても、ハチノスの存在感が半端ないですね。
色味から、日本の塩ラーメンのスープに近いだろうと想像していたのですが、これは全くの別物!
塩気はむしろ控えめで、漢方食材や野菜類から抽出された(?)甘みと旨味を強く感じる個性的なスープです。日本人の味覚からすると、かえしを入れる前の甘さのある出汁のような味でもあり、手元に調味料があれば、これに醤油や塩を投入して味変してしまいそう。
スープとよく絡むのですが、見かけがなまじ日本の塩ラーメンに似ているのに、味は全くの別物なので、食べていて脳が混乱してきます(笑)
牛ハチノス(第二胃)は、焼肉屋のホルモンでしか食べたことはなかったのですが、贅沢に結構なボリュームのものが載せられています。日本のラーメンでは、あまり見かけない組み合わせですよね。
ハチノスは、ほぼ筋肉質なので、高タンパク低脂肪、コラーゲンたっぷりのヘルシー食材。
噛み切るのに苦労しますが、ガシガシいただきます。
牛すじ肉もコラーゲンの塊ですね。コリコリとしてアッサリとした味わい。
香港の人って、健康志向が強いのかな?
バラ肉は、よく煮込まれていてホロホロと柔らかく、麺と一緒に啜りやすくなっています。余分な油は落とされているようで、脂っこさは感じません。
トッピングされているこれら三種の肉に、結構なボリュームがあるので、私はこの一杯でほぽ満腹。でも、塩気や油分が控えめだったせいか、いやな胃もたれはありません。
一方、同行の妻殿が選んだのは、「海老ワンタン麺」(990円)。
スーブと麺は、牛三宝麺とほぼ同じ味に感じます。(妻殿はちょっと違うと言っていましたが)
ワンタンの中には、プリッとした海老が一匹と餡が入っていて、さすが本場だけあってお味も結構なもの。
全体にどちらの麺料理も美味しかったのですが、やはり日本のラーメンと外観が似ていながら、これだけスープの味付けが違うと、食べた時にどうにも頭が混乱します。この甘みを感じるスープなら、拉麺よりも米線のほうが日本人の味覚には合うんじゃないかなぁ。拉麺を食べたいのであれば、辛味のある坦々麺を選んだ方が違和感はなさそう。
次回、試してみたいと思います。
初めて来た店ですし、色々と試してみたくなって、サイドメニューとして「香港焼鴨」と「餃子」も注文してあります。
まず、北京ダックならぬ、香港では人気らしい「香港焼鴨」(1,200円)から。
北京ダックなら、皮を身から外して、甜麺醤を塗った薄餅に挟んで食べますが、香港焼鴨は皮も身も一緒に甘酸っぱいタレをつけて食べるようです。飲茶の点心のような感じ。
皮はパリパリ、身はジューシーで、家鴨肉の旨味がギュッと閉じ込められています。これは美味しい!
骨付きのまま窯で焼いて、そのまま包丁でブツ切りにしているので、肉の間に骨が残っていたりします。北京ダックのような高級感はないのですが、麺料理のサイドメニューにはピッタリでオススメ。食感も味も気に入りました(喜)
こちらは妻殿の好物で、北京料理店に行こうが広東料理店行こうが、はたまた町中華に行こうが、注文しないでは済まされない『餃子』(450円)。
果たして香港の店で、焼き餃子が人気なのかどうかは疑問ですが、ここは日本ですからね。
焼き上がりはカリカリではなく、しっとり、ぷっくらという感じ。
食べてみると、ニンニクやニラの香味が程良く効いているし、餡に施された下味に秘密があるのか、なかなか美味しい。
注文して間違いのないお味です。
デザートには、お店のお姐さんオススメの「仙草ゼリー」(250円)。
仙草とは、漢方の生薬に用いられるシソ科のハーブで、それを煮出してゼリー状にしたものです。台湾や香港で食べられているデザートで、暑気あたりや毒消し、お肌の美容にも効用があるそう。私にとっては人生、初仙草。
仙草には苦味があるので、ココナッツの甘味で打ち消しているそうですが、私は苦みは気にならず、爽やかでサッパリとしたお味に感じました。
年々劣化しつつある、私のお肌も潤うかな(笑)
ごちそうさまでした。
見かけは日本で食べる中華と似ているけど、味付けはちょっと違った本場香港の味。
のほほんと海の向こうの彼の国に赴いて、意味も分からず逮捕勾留されでもしたら、私の人生はそれで終わってしまうので、もう私が香港に行くことはありませんが、瑞穂町で本場の味を楽しめるのなら、実に有難い話。
また、別メニューの味も確かめに伺うつもりです。
【香港料理 蘇哥清湯腩】(ソーゴーチンタンラン)
■所在地 東京都西多摩郡瑞穂町二本木804-2
■営業時間 11:00-22:00 (16:00-17:00中休みあり)
■定休日 月曜日
■最寄駅 JR八高線 箱根ヶ崎駅から徒歩2km(遠い)
■駐車場 あり













